平成26年11月27日(木)  目次へ  前回に戻る

←一仕事終えたあとの宴

今日はいい天気になりました。明日は金曜日。なんかどんどんシアワセになってくるぞー。

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元の朝廷は「法酒」というものを定めて、役所や軍隊で使うために人民に造らせていた。

何種類かあって、一つは

用器焼酒之精液取之、名曰哈剌基。

器を用いて酒の精液を焼きてこれを取る、名づけて「哈剌基」(こうらつき)と曰えり。

容器を利用して、熱を加えて酒精を取りだすもので、「ハラーキ」酒という。

要するに蒸留酒です。「三才図会」などの技術書では「阿剌基」(アラキ酒)と表記される「焼酎」の一種。「泡盛」がこれに近いという。

蒸留酒ですから、

酒極醲烈、其清如水。蓋酒露也。

酒極めて醲烈、その清きこと水の如し。けだし酒の露なり。

この酒はたいへん濃くきつく、一方で味わいはさっぱりしてまるで水のようである。酒を蒸留した露を集めたものなのだ。

という表現は正確ですね。

それから、毎年、冀州や寧州などの地方に命じて

造葡萄酒。

葡萄酒を造る。

ブドウからお酒を造らせた。

これは秋の初めの八月に、産地から大行山脈の山中に持ってこさせ、正しく造ったものか手抜きのニセモノかを判定した。

どうやって判定するかといいますと、冬の閧ノも

真者不冰、傾之則流注。

真者は氷らず、これを傾くればすなわち流注す。

ホンモノは氷結しない。容器を傾ければたらたらと流れ注がれる。

しかし

偽者雑水即冰凌而腹堅矣。

偽者は水を雑うれば、すなわち冰凌して腹堅し。

ニセモノは水が混ざっているので、かちかちに凍ってしまい、容器から出てこないのである。

なので判定は容易であった、ということだ。

このホンモノの方を

久蔵者、中有一塊。雖極寒、其余皆冰而此不冰。蓋葡萄酒之精液也。

久しく蔵するもの、中に一塊有り。極寒、その余みな冰るといえどもこれ冰らず。けだし葡萄酒の精液なり。

長い阨ロ存しておくと、中に一つのかたまりのような部分ができてくる。たいへんな低温で、どんな液体も凍ってしまうような中でも、この部分だけは氷らない。これこそ、ブドウの酒精なのである。

このかたまりの部分を不用意に「これは美味そうだぞ」と飲んではいけません。

飲之則令人透液而死。

これを飲めば人をして透液して死せしむ。

これを飲みますと、体にその液体が浸みわたって、またにじみ出てきて、死ぬのである。

それだけではなく、

二三年宿葡萄酒、飲之有大毒、亦令人死。

二三年葡萄酒を宿せば、これを飲むに大毒有りて、また人をして死なしむ。

一般のブドウ酒でも二三年置いておくと、たいへんな毒性を持つようになり、やはり人が飲むと死ぬのであった。

こういうのを「法酒」と称して造らせ、飲んでいたのである。モンゴル遊牧騎兵の豪胆、知るべきであろう。

古無有也。

いにしえ有ること無し。

それ以前の時代には考えられなかったことである。

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元・葉子奇「草木子」巻三より。

依存症を容認する国家だったのですね。お酒でシアワセになれるのならばどんどん呑めばいい、とは個人的には思うんですけど。タバコもそう思うのですが、ギャンブルはどうかな・・・。

 わがハーンの子等よ

 その花束を頬にあてて暗い運命の香を

 嗅いでみたまへ。           (人見東明「墓畔のおとずれ」)

 

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