今日は雨降ってイヤになるぐらい寒かったですね。こんな日に裸足で歩いたらイヤになります。
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晋の太康元年(280)のことだそうですが、杭州の王某が
過廟乞福。
廟を過ぎて福を乞う。
祠の前を通りかかり、(履物を脱いで堂内で拝礼し)しあわせになれるように祈った。
さて、
既去已行五六里、忘履。
既に去りすでに五六里を行きて、履を忘れたり。
祠を出て、五六里(3〜4q)行ったところで、履物を忘れてきたのに気づいた。
履物を忘れて裸足で3〜4qも歩く、というのはどういう状況なのだろうか。王某がすごいボケであるのか。あるいは普段は履物を履かずに裸足で生活しているレベルの人なのだが、このときは特別に履いていたのでついつい忘れたのか。というぐらいしか想定できないのですが、ほかにもありうるであろうか。
いずれにせよ履物を忘れてきたことに気が付いて、「取りに戻らなければ」と思ったのだが、
未及取、一白衣人持履後至。
いまだ取るに及ばざるに、一白衣人、履を持して後より至れり。
戻りかける前に、白い服のひとが一人、王の履物を持って後ろから追いかけてきたのである。
そして言うに、
官使還君。
官、君に還さしむなり。
「うちの上司があなたに早く返してこい、というので」
「あ、ありが・・・」
履物を受け取った王某がその礼を言うより早く、
ぼよよよ〜ん
その白い服のひとは一羽の白鳥に化けると、
飛入田中。
飛びて田中に入れり。
田んぼを越えて飛び去って行った。
なお、その後、王某は特段にしあわせにも不しあわせにもなっていない。
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南朝宋・劉義慶「幽明録」より。
いかにもよくありそうで、大して珍しいことでは無いように思いますでしょうけど、あまりこんなことには出くわしませんよ。