←回転すしを食べるときはいつも無言。
ああ今日もシアワセだったなあ。こんなにシアワセにしているとは怪しからんでしょう。
「怪しからん!」
と言って職場のエラいひとが異動させてくれるとうれしい・・・ぐらいです。それぐらいシアワセだからか、ストレスがたまってどんどん体重も増えてきております。
今日は肥満したひとのせいでみんなが迷惑する話。
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魯の哀公は越の国に出かけ、その越の王族とニンゲン関係を深めて、翌年六月、九か月ぶりに魯の国に帰還してまいりました。哀公の二十五年(前470)のことでございます。
重臣の季康子と孟武伯が、国境に近い町まで出迎えに行きました。
公にずっとつき従っている近侍の郭重(かくちょう)は、二人の姿を見ると、公にそっと
悪言多矣、君請尽之。
悪言多し、君、請う、これを尽くせ。
「こいつらは悪口ばかり言っとるんです。公よ、どうぞこいつらを問い詰めてやってくだされ」
と耳打ちした。
公は、特に表情も変えずにそれを聞き捨てた。
やがて出迎えの宴会が始まると、孟武伯はまず祝杯を挙げたあと、
悪郭重、曰、何肥也。
郭重を悪みて曰く、「何ぞ肥りたるや」と。
郭重をにくらしそうに睨み、「どうしてそんなに肥っているのか!」と言った。
・・・ひどい。あんまりなことばである。
季康子がとりなして、
「まあまあ。武伯どのは罰として酒杯をあけてください。我が魯の国は多くの敵に囲まれていますから、わたしたちはお留守を護る必要があって越に赴かれた公に同行できませんでした。わたしたちの代わりに公に同行なさって、やっと帰ってこられた方に、
又謂重也肥。
又、重や肥りたりと謂わんや。
どうしてまた、「重どのは肥っている」などとおっしゃるのか」
・・・大きなお世話です。くそ。でぶをバカにしやがって。
哀公は自ら杯を乾して、郭重を指さすと
是食言多矣、能無肥乎。
これ、食言すること多ければ、よく肥ることなからんや。
「こいつは「食言」が多いやつだから、肥らないではいられないのだろう」
「食言」の「食」は「食べる」ではなくて前と違うことを言う、という意味ですが、ここでは「食べる」に引っ掛けて、
「こいつはよく前後矛盾したことを言う(「食言」する)やつだから、たくさん言葉を食べてしまい、肥らないではいられないのだろう」
と言ったわけです。
・・・これはひどい。まるで肥った者はウソつきだ、みたいな言い方ではありませんか。
それでも肥満した郭重をみんなでからかってその場が盛り上がればまだよかったのですが、
飲酒不楽。
飲酒楽しまず。
宴会は盛り上がらなかった。
のだそうでございます。そして、
公与大夫始有悪。
公と大夫、始めて悪あり。
これ以降、公と重臣たちの関係はどうにもしようがないぐらい悪化していったのであった。
その二年後、哀公は越の外圧によって重臣たちを押さえつけようとして越から軍隊を呼び入れ、これに対して重臣たちがムホンしまして、ついに公は国外に追放されてしまうのでございます。
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「春秋左氏伝」哀公二十五年「公至自越」(公、越より至る)条より。
郭重が肥ってさえいなければこんなことにはならなかったカモ知れないのに・・・。デブはそこに存在するだけでその場のフンイキを悪くしてしまうことがあるものなのです。