沖縄は今宵は観月会。月に乗じてニライの海から神さまも来ているかも。
一方肝冷斎は眠い。頭痛い。熱もありそう。
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昨日の続き。
花月宜佳人、松月宜道者、蘿月宜隠逸、桂月宜俊英、山月宜老衲、湖月宜良服、風月宜楊柳、雪月宜梅花。
花月は佳人によろしく、松月は道者(どうじゃ)によろしく、蘿月(らげつ)は隠逸によろしく、桂月は俊英によろしく、山月は老衲(ろうのう)によろしく、湖月は良服によろしく、風月は楊柳によろしく、雪月は梅花によろし。
花に懸かる月の下では、美しい女人と会いたいものだ。
松に懸かる月の下では、気位高い道士と会いたいものだ。
かづらに映える月の下では、隠逸の賢者と会いたいものだ。
桂に映える月の下では、鼻っ柱の強い俊才と会いたいものだ。
山の端に懸かる月の下では、老いた高僧と会いたいものだ。
湖に映る月の下では、豪華な服で歩きたいものだ。
風そよぐ夜の月の下では、やなぎの間を歩きたいものだ。
雪ある夜の月の下では、梅の花を探して歩きたいものだ。
最後に、
片月宜花梢、宜楼頭、宜浅水、宜杖藜、宜幽人、宜孤鴻。
満月宜江辺、宜苑内、宜綺筵、宜華燈、宜酔客、宜妙妓。
片月は花梢(かしょう)によろしく、楼頭によろしく、浅水によろしく、杖藜(じょうれい)によろしく、幽人によろしく、孤鴻(ここう)によろし。
満月は江辺によろしく、苑内によろしく、綺筵(きえん)によろしく、華燈によろしく、酔客によろしく、妙妓によろし。
半月は、花の梢の先に懸かっているのがよろしい。たかどのの屋根にかかっているのもよろしい。浅い小川に映っているのもよろしい。アカザの粗末な杖を曳いて歩くときに見上げるのもよろしい。隠れ棲むひとと話しながら見上げるのもよろしいし、一羽きりの大きな鳥が、その前を過っていくのを見上げるのもまたよろしい。
満月は、川のほとりで見上げるのがよろしい。手入れの行き届いた庭園で見上げるのもよろしい。豪華絢爛な宴席で見上げるのもよろしい。祝いの席の燈火の向こうに見上げるのもよろしい。酒に酔うた客人と話しながら見上げるのもよろしいし、美しく、心優しい妓女と見比べるのもまたよろしい。
以上でした。
今日が20宜で、昨日と合わせて「四十六宜」(46の「よろしい」)。
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明・陸紹珩「酔古堂剣掃」巻十二より。
月見れば千々にものこそかなしけれ・・・となるところでしたが、今夜は関東地方はしとしとと雨。月が見れなくて、少しは悲しまなくてよくなったのかも。月にかかわりなく、毎日毎日どうせ哀しくってしようがないのだから。こんなに哀しいからには、
ああ、どこか、人の見知らぬところに
人の思ふに過ぎた悦びの国がきつとあるにちがひない (高橋元吉「美しい河」より)
ようにさえ思います。
ちなみに昨日も申し上げたとおり、デング熱の可能性もわずかながらある状態で、状況的には可能性はわずかに高まったのではないか、とさえ思われます。明日こそは出勤は難しいカモ。