恐怖の一週間、終わる。だが来週はジゴクの一週間になるらしい。もうイヤ。
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偸児(盗人、どろぼう)が迂公(おとぼけおじさん)の家に盗みに入った。
公適帰遇之。
公たまたま帰りてこれに遇う。
ちょうどそこへ迂公が帰ってきて、鉢合わせした。
「うひゃあ」
どちらも驚いたが、
偸児大恐、併棄其所竊来羊裘而遁。
偸児大いに恐れ、併せてその竊(ぬす)み来たるところの羊裘を棄てて遁る。
どろぼうの方がより恐れて、そのついでに他所から盗んできた羊の皮の上着を放り出して逃げていった。
迂公はこの上着を手に入れて大いに喜んだ。
それからは、
毎夜帰、門庭晏然、必蹙額曰何無賊。
毎夜帰り、門庭晏然たれば、必ず額を蹙(ひそ)めて曰く、「何ぞ賊無きや」と。
毎晩帰ってきたときに門や庭先に誰も入った様子が無いと、かならず額に眉を寄せて、
「どうして盗人が来てないのか」
と嘆くようになったのである。
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明・浮白斎主人「雅謔」より。
うまくやりやがりましたね。嫉妬と羨望の心が湧いてまいります。