やる気無し。ニンゲン関係を棄てて、遠いところに行ってしまいたい感じ。絡み付くものを切り捨てて。
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欲別牽郎衣。 別れんとして、郎が衣を牽けり。
郎今到何処。 郎、今、いずれの処にか到る。
不恨帰来遅、 帰り来たることの遅きを恨みざるも、
莫向臨卭去。 臨卭に向かいて去ること莫れ。
「臨卭」(りんこう)は地名で、前漢のころ、司馬相如と富豪の娘で若後家で美人の卓文君が私通した地であるという。
別れるときにはあんたの着物に、早く帰って来とくれよ、と取り縋ったものさ。
あんたは今ごろどこにいるんだろうかねえ。
帰って来るのが遅れたって文句をいう気はないんだけどさ、
臨卭あたりの盛り場で、うかれ女に気を引かれるのだけは無しにしておくれよ。
というような情の厚いのを「後を追うんじゃねえぜ」と、ニヒルに吸いさしのタバコみたいに棄てて、明日こそ、おれはひとり旅立つぜ。
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六朝ふうの粋な作りにしてある詩ですが、唐・孟郊の「古別離」(「むかしふうの別れうた」)。
孟郊はこんな詩も作っているおっさんですが、「おんなうた」も作れるみたいだよ。