コドモの日でちゅう。楽しいな。そこでコドモたちに希望を与えるようなお話をちまーちゅ。
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今日のお話も五代の四川地方での出来事なの。
成都の延秋門の近くに厳真観という道教のお寺があり、その日は縁日でにぎわっておりましたそうな。
その縁日の出店の一画に、不思議な店があった。
有村夫鬻一白蝦蟇。
村夫の一白蝦蟇を鬻ぐ有り。
附近の村から来た百姓男が、一匹の白いガマを売っていたのである。
その真っ白なガマは
其質甚大、両目如丹。
その質はなはだ大にして、両目は丹の如し。
その体はすごく巨大でありまして、両目は丹を塗ったかのように朱色であった。
ものめずらしそうにかなりのひとが集まってきたが、ひとびというにこのガマ、
肉芝也。
肉芝ならん。
「芝」というのは、キノコ、あるいは粘菌類の植物性の仙薬をいう。「肉」は「動物性の」というぐらいの意。
「ドウブツ性の仙界の薬物ではなかろうか」
と。
王某という医師が銭1000枚でこれを買って行った。
王某、家に帰り、
慮其走匿、因以大臼合於地。
その走匿を慮り、因りて大臼を以て地に合す。
白ガマが逃げ出してしまうのを恐れて、ガマの上に大きな臼をさかさまに伏せて地面に置いておいた。
ところが夜になると、
石臼透明如燭龍。
石臼、透明なること燭龍の如し。
石臼が臘で作って燈火にする龍の置きもののように透き通り出したのである。
王某、大いに驚き、また考えるところがあったらしく、ついに斎戒沐浴して自らの身を清めると、ある日ガマを抱きかかえて山中に入っていった。
そしてそのまま
杳然音耗。
杳然として音耗す。
どうなってしまったかわからず、消息も絶えてしまった。
その翌年、宋が四川に攻め込み、ついに蜀(歴史上、「後蜀」あるいは皇帝の姓をとって「孟蜀」と呼ばれる)は滅亡したのである。
太平の世となったが、
竟不知王之存亡也。
ついに王の存亡を知らざるなり。
今に至るも、王某が生きているかどうかさえ誰も知らない。
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宋・黄休復「茅亭客話」巻五より。
これは仙人を目指すコドモたちには励みになりまちゅよ。難しい修行しなくても白いガマさえ見つければ、行ける!かもしれないのでちゅ。勉強なんかしなくてもガマ探した方が速いんだ。