すごくいい話。
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これも晋のころ、臨川の聶包というひと、
死数年。
死して数年なり。
死んでから数年が経った。
その聶包が、突然、当時南豊の令を務めていた友人の沈道襲のところに現れたのであった。
現れた聶包は歌を歌いだした。
其歌笑甚有倫次、毎歌輙作、花上盈盈正聞行当帰。
その歌、笑いて甚だ倫次有り、つねに歌いてすなわち作すに「花上盈盈としてまさに聞く、行きて帰るべし」と。
その歌はとにかく面白く、みな聞いて大笑いしてしまった。一番、二番とぐるぐる回るように続き、必ず途中で
「花がいっぱいのその時言われた、行ったらかならず帰ってくると、ああヨイヨイ」
というリフレインが入るのである。
沈もその家人たちも大笑いして聞いているばかりで、
不聞死復生事。
死してまた生じたることを聞かず。
死んでまた生き返ってきたことについては、とうとう何も質問できなかった。
そのうちに歌うのを止めたかと思うと、もうその姿はどこにも見えなくなっていた。
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「異苑」巻六より。
わしもいずれみなさんの家に現れて歌いますので、どうぞ大笑いしながら聞いてやってくだされ。