まだ水曜日。まだ二日も・・・。
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今日も非現実的に行きます。
晋の孝武帝の太元二十一年(396)のこと、
帝毎聞手巾箱中有鼓吹鼙角之音。
帝、つねに手巾箱中に鼙角(へいかく)を鼓吹するの音有るを聞く。
「鼙」(へい)は小鼓。
帝は、お側にあるハンケチ入れの箱の中から、小鼓を叩き、角笛を吹く音が聞こえているのに気づいた。
そんなことが何度もあったのである。
そこで帝は僧衆を集め、大いに祈祷をしてもらうこととした。
その晩、祈祷の最中に、帝は
見一臂長三丈許、手長数尺、来摸経案。
一臂の長さ三丈ばかり、手の長さ数尺なるが、来たりて経案を摸するを見る。
「摸」(も)は、指で撫でさする。
長さ5メートルもあろうかという腕が伸びてきて、その手首から指の先までだけで1メートル前後あって、それが僧侶たちの前のお経を置く机を撫でさするのを見たのであった。
帝は気を失ってすぐに寝所に運ばれ、祈祷の場は大騒ぎになった。
その年、帝は崩御し、跡継ぎのことで天下大いに乱れ、ついに晋帝国の終焉(最終的には420年)を導いたのである。
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宋・劉敬叔「異苑」巻四より。わたしのまわりでもあちこち音がする(ような気がする)。不安な世の中である(ような気がする)。