平成26年4月3日(木)  目次へ  前回に戻る

 

3月31日に長生きのオオカミについて、昨日は長生きのニンゲンについて述べました。今日は長生きの樹木につきまして述べます。

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千歳樹精為青羊。

千歳の樹精は青羊と為る。

千年を経た木の精霊は、青いヒツジの姿となる。

そうです。

では、一万年経るとどうでしょうか。

万歳樹精為青牛、出遊人間。

万歳の樹精は青牛と為り、人間(じんかん)に出遊す。

一万年を経た木の精霊は、青いウシの姿となり、よく人間世界に出てきてうろついている。

のだそうです。

老子の車を牽いていた青いウシもその類だったのでしょう。

後漢の桓帝(在位146〜167)の時代、帝が黄河のほとりに巡遊あそばしたとき、

忽有一青牛、従河中出。人驚走。

たちまち一青牛有りて、河中より出づ。人、驚走せり。

突然、一頭の青いウシが河の中から出てきたので、帝に供奉するひとびとは慌てふためき、大騒ぎになった。

時に中尉であった何将軍、勇力あり。彼が駆け付けると、

牛見公、走還河。

牛、公を見て走りて河に還らんとす。

ウシは将軍の姿を見るなり河の中に逃げ帰ろうとした。

だが、

「逃がさぬぞ!」

公以左手挽牛足、右手持斧、斫牛頭。

公、左手を以て牛の足を挽き、右手に斧を持して、牛の頭を斫る。

将軍は左手でムンズとウシの足を捕まえ、右手に持った斧で、ウシの頭に斬りつけた!

ごろん。

ウシの頭はころりと落ちた―――かと思ったら、

ぼよよよ〜ん

と木のコブに変わり、何将軍の左手には老木の幹が残っていたのだ。

すなわち、

此青牛者万年之木也。

この青牛なるものは万年の木なり。

この青いウシは、一万年を経た木だった、というわけ。

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「玄中記」より(「太平御覧」巻900所収)。同書は六朝期に成立した書物で、四方の神異のことを記す。今は佚した。著者は郭某だという説もあるが、魯迅はそれさえ仮託であろうという(「中国小説史略」)。

一万年の木は地球上にあんまり無いので、もったいないように思います。クジラよりも。

 

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