まねをしてはいけませんよ。
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いずれの時代のことでありましょうか(漢のころのことと思われますが)、蔡長孺なる者がおりました。蜀郡のひと、ということですから、今の四川に住んでいたという。
このひと、
夫妻共服十精丸。
夫妻共に十精丸を服す。
夫婦そろって、「十精丸」というクスリを服用していた。
おかげさまで、
体気充盈。
体気充盈す。
体中にエネルギーが満ち溢れていたのである。
夫婦ともに満ち溢れていた。
おかげさまで
年九十生一男、名度世。
年九十にして一男を生じ、度世と名づく。
夫婦ともに九十歳のときに、息子ができた。そこで、「度世」(生き抜いた)と名付けた。
ところが、
一百五十歳復生一男、名無極。
一百五十歳、また一男を生じ、無極と名づく。
百五十歳のときに、また息子ができた。今度は、「無極」(限りなし)と名付けた。
この六十年間何していたのか、という気もいたしますが、その後も生きて
年三百歳、視之如少童。
年三百歳にして、これを視るに少童の如し。
三百歳の時でも、じっくり見ても少年少女のように若々しかった。
とのこと。
百五十歳以降の百五十年間は、外見は少年少女でもさすがに疲れたのであろうか。
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宋・張君房編「雲笈七籤」巻110(巻110は「洞仙伝」なる書のダイジェストになっている)より。
話を聞くだけで心不全になりそうな話です。なお残念ながら「十精丸」なる薬の処方は伝わっていない。これが伝わっていればIPS細胞もすぐ作れたカモ。STAP細胞も捏るだけで造れたカモだが。
ちなみに今日は岡本全勝さんから本貸してもらった。「シェイクスピアを追え!」(エリック=ラスムッセン・2014岩波)である。以前お薦めの「仏典はどう漢訳されたのか」(船山徹・2013岩波)もまだ読んでないので、生きている間に読みたいものですが・・・。岩波書店の本が一年に一冊以上読めたタメシも無いのですが・・・。