体重が信じられないぐらい増加。沖縄から本土に戻ってきたときに比してすでに4キロ増。昨日の血糖値もこのせいか。苦しい。破裂しそうである。・・・と言っているうちに、うわあああ・・・
(ぱぱ〜〜ん!)
寒冷斎、破裂!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、日本全国で、河童が人や馬を淵に引き込もうと悪さをすることがあります。
このとき、
→勇者が河童の腕を斬って、持ち帰る。
→夜になると河童が現れ、腕を返してくれと哀願する。
→切れたものを返してもらってもしようがないだろう、と言うと、河童には切れた腕をくっつける薬(「手継の秘法」)があるのだ、と答える。
→そこで、その薬の処方を教えてもらうのと引き換えに腕を返す。
→かくして、勇者は有効な傷薬の処方を得て、この薬を売って財を成す。
・・・というのが、各地に伝えられる「河童薬法譚」のあらましである。
ところでわたくしは、この傷薬は普通の傷には役に立つのであろうが、これを使って切れた腕が引っ付いた、という話を聞いたことがない。河童の腕はくっつくらしいのに、なぜ?ということにずっと悩んでまいりました。
しかし、このたび、ついにその理由がわかりましたので報告いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宮崎県でのことだそうでございますが、
高鍋の庄左衛門なる者、かつて河童と闘ひて其の一腕を斬り取りて帰る。
高鍋の庄左衛門という者が、河童と闘って、その片腕を斬り取り、家に持ち帰ったのであった。
すると、その晩、上述のルールどおり河童が家にやってきた。
河童、哀求して其の腕を乞ひ、此も手継の秘法を秘し去ることあたはず、命のままに薬物を臚列して見せたり。
河童はその腕を返してくれ、と哀願し、やはり庄左衛門と折衝するうちに、「手継の秘法」の存在を隠しておくことができず、腕と交換に秘法を教えることとなって、庄左衛門の命じるままに薬に使う各種の薬物を目の前に羅列して見せた。
「ふむ、なるほどのう。この薬を売り出せば・・・。くっくっく、ついにわしも大富豪というわけじゃ・・・」
「おねがいでっちゅ、約束どおり腕を返ちてくだちゃい」
「ああ〜ん?」
庄左衛門、河童の前に
「この汚らしいモノなどくれてやるわ」
と腕を放り出すと、河童は
「わーい、いただきまちたー」
と残った方の手で干からびかけた腕を摑み、
「ではでは、ちゃようなら」
と、そそくさと家を出ていく。
然るに腕を取り返し欣びて門を出で、顧みて言ふには、吾詳らかに薬剤を述べたれどもわざと其の一を闕(か)きたり、と。
さて、腕を取り返して大喜びしながら庄左衛門の家の門を出るとき、振り返って言うには、
「おいら、くわしく薬剤を教えてあげまちたけどね、実は一つだけ教えてあげてない薬剤があるんでちゅよー」
と。
「なんじゃと!」
「うっしっしー、ちゃようならー」、
終(つい)に水に没してまた追ふべからず。
あっという間に河童は水中に没してしまい、もはや追うことはできなかった。
「くそ、河童め」
と地団駄踏んだものの、庄左衛門はもとより野心のある男である。「河童の秘薬」として売り出せば薬剤の一つぐらい足らなくてもわかるまい、と思い定めて、薬を売り出した。
庄左衛門薬は後盛んに世に行はれ、用ゐて金創打撲(うちみ)に付くれば神効あれども、全く切れたる手足のみは継ぎ兼ぬるは、其の一味の不足するためと云ふ。
庄左衛門の薬はこの後世間に大いに売れ、刀傷や打撲に塗布すればたいへんな効き目があったが、完全に断裂してしまった手足をつなぎ直すことはできなかった。それは最後の一剤が足らなかったためである、ということだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と、柳田國男先生の「河童駒引」(「山島民譚集」(一)所収)に書いてあった。
やっと納得がいきました。
いずれにせよ体重が増えすぎて破裂してしまった寒冷斎には、もう付ける薬も無いようです。本HPは明日からどうなるのでございましょうか。