明日朝早いんです。今日は胸のすくようなお話をして、すかっと寝ます。
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南北朝に北斉という国があります。拓跋氏の北魏が分裂して東魏と西魏になった、その東魏の譲りを受けた形で高洋(北斉の文宣帝、在位551〜559)が建てた国であった。
文宣帝が即位すると、これに入れ知恵する者があった。
曰く、
光武中興為誅劉氏不尽。
光武の中興は劉氏を誅して尽くさざるが為なり。
前漢は王莽に滅ぼされましたが、このとき王莽は漢の皇族であった劉一族の人間を殺し尽くさなかった。このため、劉氏の傍系であった劉秀(後漢の光武帝)によって倒されてしまったのでございますぞ。
と。
「なるほど」
文宣帝は深く感じるところがあり、東魏の皇族・元氏(拓跋氏が漢族風に改姓したもの)を名乗る者をかたっぱしから誅殺したのであった。
死者千余、棄之漳水。
死者千余、これを漳水に棄つ。
千何百人という死者が出たが、これを都のある山西を流れる漳水に流した。
「清漳」といわれる澄明な漳水の流れも、ために血に赤く染まったということだが、一帯の魚類はまるまると肥え太った。
まるまる肥え太ったのは栄養のあるものを食べたからである。
有捕魚者得爪甲、謂之元郎魚、人不忍食之。
魚を捕る者、爪甲を得るあれば、これを「元郎魚」と謂い、人これを食うに忍びず。
魚を捕らえると、時にその腹の中にニンゲンの爪が残っているのがあった。これをひとびとは「元さんの魚」と呼び、さすがにみなこれを食べなかった。
という。
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北斉・陽松玠「談藪」より(「太平廣記」巻267所収)。同時代人の記録である。
こんなスカッとする話読んだら、明日もうスシとか刺身とか生魚は食べられませんよ。しようがないから明日は焼き魚食うぞ。