もっともっと寒くなってきた。表に出るのいや。
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唐の貞元年間(785〜804)のこと、あるひとの屋敷で棟の建て増しをすることになり、柱を立てるための穴を掘っていたところ、
遇一石函。
一石函に遇う。
たまたま、一個の石の箱が出てきた。
長さ一丈(2メートル弱)、幅数尺(1メートルぐらい)、深さも同じぐらいの大きさである。
「なんだ、これは」
蓋石をこじ開けると、
見物如糸満函、飛出於外。
物の糸の如きの函に満ち、外に飛び出づるを見る。
糸のようなものが箱いっぱいに詰まっていて、それが箱の外に飛び出してきたのであった。
これに続いて、
次忽有一人、起於函中。
次いで忽ち一人有りて、函中より起てり。
次に突然、ひとりのニンゲンが箱の中から立ち上がってきた。
「うわあ」
とみんな驚いた。
しかしそのひと、廻りのひとには見向きもせず、
披髪長丈余、振衣而起、出門失所在。
披髪にして長さ丈余、衣を振るいて起ち、門を出でて所在を失う。
髪はざんばらで長さ2メートルぐらいにもあったが、着ていたものを「ぶるるん」とひとふるいすると、函から出、さらに門から出て、いずこへともなく去ってしまった。
のであった。
一時期ずいぶん評判になった出来事である。
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唐・段成式「酉陽雑俎」より。わたしも春になるまで箱にでも入ってじっとしていたいものだが・・・。
ところでこの事件、唐代のことで、ウソを百回言ってホントにしてしまう隣国も、「印象報道」しておいて訂正も謝罪もしないようなマスメディアもまだいないわけですから、もしかしたら本当にあったことかも知れませんぞー。