平成25年12月21日(土)  目次へ  前回に戻る

 

なんでこんなに寒いのでしょうか。今日は冬至かな? 明日からは春になるのでは? 寒いと服が必要になりますが、なにしろ服屋は気おくれがして入れませんので、服が無い。

「でぶはサカ○ンというところに行けばいいのだ」

としたり顏で教えるやつがいますが、サカ○ンさんはでぶの店ではなく、「でぶの服も扱っている紳士服屋さん」なので、紳士服屋さんに気おくれせずに入れるやつにしか入れねえんだよ! おまえらにはわかんないのかよ! ぷんすか!

・・・などと、他人様の理解してくれないのを怒ってはいけませんぞ。人知らずして慍らず、また君子ならずや。

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ぼわわわ〜ん。―――と、また童子に変化します。

さて、昨日はひどい目にあいまちたねー。調子に乗ってインドまで行ったら、向こうの聖者に「悪魔」呼ばわりされ、ついに消滅させられてしまいました。

今日はまた東アジアに戻ってきまして、古代チャイナの聖人・孔子さまの後ろの方に童子として引っ付いてみます。こちらではすぐに「おまえは悪魔であろう」などと神通力で決めつけられないので、普通にお勤めしておりますと、

――まだ幼いのにがんばっておるのう。

――だが、オトナの真似はしてはいかんぞ。まずは自分にできることから始めるのじゃ。

などと見た目で子どもだと理解して接してくれるので、楽チン。

さて、そんなある日、魯の哀公孔子にお訊ねになった。

夫子之服、其儒服与。

夫子の服は、それ儒服なるか。

先生の着ておられるのが、いわゆる「儒者の服」というものですか。

いい服を着ているつもりの人には服のことは聞いてもいいのですが、服が無い人に聞いてはいけません。ただし、孔子は、すごくでぶでもないのでちゃんとした服を着ていた。

孔子、答えて曰く、

丘少居魯、衣逢掖之衣。長居宋、冠章甫之冠。丘聞之、君子之学也博、其服也郷。丘不知儒服。

丘は少(わか)くして魯に居れば、逢掖の衣を衣(き)る。長じて宋に居れば、章甫の冠を冠す。丘はこれを聞けり、君子の学や博、その服や郷、と。丘は儒服を知らず。

この孔丘めは若いころはこの魯の国で生まれ育ちましたから、魯の風俗であるたもとの広い服を着ております。大人になってから殷王朝の故地である宋の国で学問しましたので、宋の風俗である黒い布をてっぺんに飾った冠をかぶっております。

孔丘めはこう聞いたことがある。

―――よき人の学問ははば広い学問、よき人の服はその住んでいるところの服。

と。(だからわたしは自分の暮らした地の服を着ているにすぎないのですじゃ。)

そのようには聞いておりますが、さて、「儒者の服」がどういう服なのかは、聞いたことがございませぬなあ。

なんでこんな持って回った言い方をするのか、とイライラしますが、要するに「儒服」ではないらしい。(「儒者のふく」はドラクエにも出てきませんし。)

「な、なるほど・・・」

哀公は納得したようす。その上で、

敢問儒行。

あえて儒の行いを問う。

それでは、儒者の行動指針なら、お聴きすることができましょうか。

孔子、答えて曰く、

遽数之、不能終其物。悉数之、乃留、更僕未可終。

にわかにこれを数えんとすれば、その物を終うるあたわざらん。ことごとくをこれを数えんとすれば、すなわち留まりて、僕も更(か)うるもいまだ終うるべからざらん。

儒者の行動指針の条目を、急いで(省略して)お教えしようとしますと、必要なことをお伝え仕切れますまい。省略せずにすべての条目をお教えしようとすれば、しばらくお時間をいただかねばなりませぬ。お付きの者が交代する時間が来ても終わらぬぐらいはかかりましょう。

なんでこんなイヤミな言い方をするのか、とムカムカしますが、とりあえずこちらは話してもいいらしい。

そこで、哀公は席を設けて、孔子に座ってもらい、聴くことにした・・・・・・。

というのが、「礼記」「儒行」第四十一の冒頭でございます。

さて、孔子は席に着くと、目の前に料理があったから、か、あるいは逆に無かったから、かも知れませんが、

(一)儒有席上之珍以待聘、夙夜強学以待問。懐忠信以待挙、力行以待取。其自立有如此者。

儒は、席上の珍を有して以て聘を待ち、夙夜強学して問を待つ。忠信を懐きて以て挙を待ち、力行して以て取を待つ。その自立、かくの如きもの有り。

儒者というのは、宴席に出される御馳走のように(自分を魅力的に磨いて)、主君が雇うために招いてくれるのを待つものであり、また、朝に夜に勉学に勤めて、主君からの御下問を待つものでござる。真心と信義をいつも忘れることなく推薦を待ち、努力を続けながら採用を待つ。このように、(自分の将来を他者に依存せず)自分の意志で将来を切り開こうとするものなのじゃ。

からはじまる「儒行」(儒者の行動指針)を語り出すのであります。

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この中には、例の十七条憲法の「和を以て貴しと為す」なども入っておりまして、なかなか名言が多いのです・・・が、みなさんおいらのカッコウをしげしげと眺めて、

「おいおい、おしゃれなんかはともかく、自分のからだにあった服を買いに行くこともできないやつの話を聞くほどヒマじゃないんだよなあ、こちらは」

「就活、婚活などに役に立つ情報に絞ってちょうだい!」

「まあどうでもいいからサカ○ンに行ってくれば・・・」

と、誰も聴く気は無いみたい。なので、今日はここまで。

 

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