うっしっし。彼岸にて楽しく暮らしております肝冷斎でございますよ。週末なのでこちら側に帰ってまいりました。
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こちら側の世界には「四神」とか「四象」といわれる四種のドウブツがございますね。
夫四象者乃青竜白虎朱雀玄武也。
それ四象なるものはすなわち青竜・白虎・朱雀・玄武なり。
ええーと、「四象」というのは、つまり、青い龍、白いトラ、赤い鳥、黒い亀のことである。
という、最近だと「風水」で流行した、あれでございます。
今日はこの「四象」について、基本的なことを学びましょう。
青龍者東方甲乙木水銀也。澄之不清、攬之不濁。近不可取、遠不可捨。潜蔵変化無尽。故言龍也。
青竜なるものは東方・甲乙・木・水銀なり。これを澄ますといえども清まず、これを攬するといえども濁らず。近くしても取るべからず、遠くしても捨つべからず。潜蔵して変化尽くる無し。故に「龍」と言う。
「青い龍」というのは、方角でいえば東方、十干でいえば甲と乙、五行でいえば木、鉱物でいえば水銀である。
(水銀のように)澄ませてみても透明にはならず、攪拌してみても混濁することもない。近くにあったとて掴み取ることができず、遠くにあったとて無関係というわけでもない。隠れ潜んで窮まることなく変化し続ける。だからこれを(変幻するドウブツたる)龍を以て呼ぶのである。
わかりましたか。
白虎者西方庚辛金白金也。得真一之位。経云、子若得一、万事畢。淑女之異名、五行感化、至精之所致也。其伏不動、故称之為虎也。
白虎なるものは西方・庚辛・金・白金なり。真一の位を得たり。経に云う、「子もし一を得れば、万事畢(おわ)れり」と。淑女の異名にして五行感化するは至精の致すところなり。その伏して動かざる、故にこれを称して虎と為すなり。
「白いトラ」というのは、方角でいえば西方、十干でいえば庚と辛、五行でいえば金、鉱物でいえば白金である。
究極の一の地位に該当する。古書(「老子」)にいう、「おまえが究極の一を得ることができたなら、すべてのことは成就する」と(。その「一」である)。しとやかな女性と同義であり、すべての物質に影響を及ぼすことができる。至高の精妙さを持っているからである。それ(「一」)はじっとうずくまって(転変する世界の中で、その軸として)不動である。だからこれを(うずくまって世界を見つめているドウブツたる)トラを以て呼ぶのである。
わかります・・・よね。
朱雀者南方丙丁火朱砂也。剖液成龍、結気成鳥。其気騰而為天、其質降而為地。所以為大丹之本也。見火即飛、故得朱雀之称也。
朱雀なるものは南方・丙丁・火・朱砂なり。剖液は龍と成り、結気は鳥と成る。その気騰がりて天と為り、その質降りて地と為れり。大丹のもとと為す所以なり。火を見て即ち飛ぶ。故に朱雀の称を得たり。
「赤い鳥」というのは、方角でいえば南方、十干でいえば丙と丁、五行でいえば火、鉱物でいえば朱砂(固体水銀)である。
わかれて液体となったときは(水銀なので)龍であり、結ばれて固体となったときは鳥なのだ。(化学変化させたときに)気体となって空中に散じたものは天を構成し、固体として下に澱ったものは地を構成する。大いなる(水銀を含む)赤い土の本質部分である、というとおりである。火を近づけ(熱を加え)ると気体となって空中に飛散する、だから「赤い鳥」と呼ばれるのである。
わかる・・・かな?
玄武者北方壬癸水黒汞也。能柔能剛、経云、上善若水。非鉛非錫、非衆石之類。水乃河車、神水、生乎天地之先、至薬不可暫捨、能養育万物。故称玄武也。
玄武なるものは北方・壬癸・水・黒汞なり。よく柔にしてよく剛、経に云う、「上善は水のごとし」と。鉛にあらず錫にもあらず、衆石の類にあらず。水はすなわち河車・神水にして、天地の先に生じ、至薬にして暫くも捨つべきにあらず、よく万物を養育す。故に玄武と称す。
「黒い亀」というのは、方角でいえば北方、十干でいえば壬と癸、五行でいえば水、鉱物でいえば黒ずんだ汞(こう。液体水銀)である。
液体のときは柔軟だが、固体化すれば剛強。古書(「老子」)にいう、「高度に善なるものは水のようなものだ」と。(液体水銀は)鉛でもないしスズでもないし、その他もろもろの鉱物とも違う。水というものは、「河車」や「神水」とも呼ばれるが、天地が生まれる前から存在したものであり、至高の薬であって少しの間も無いわけにはいかないし、すべてのものがそれによって養い育てられるものなのだ。だから、(液体として水のような状態にある水銀のことを)黒くて(堅牢でいにしえより存在する)亀、と呼ぶのである。
わからない・・・でもない・・・かも。
なお、「河車」は道教の煉丹用語で、蒸留を繰り返した「水」のこと、「神水」とは立春のころの雨水だとか神秘的な水という意味だとかいうようですが、要するにどちらも「水」のことです。
ということで、
如志士焼煉丹鼎、知此四象者十方天人莫不贍奉。古経云、四神之丹、此是也。
志士の丹鼎を焼煉するが如きは、この四象なるものは十方の天人の奉ずるに贍(た)らざるなきを知れり。古経に云う、「四神の丹」とはこのこれなり。
丹薬を入れた鍋を焼煉しようとする志ある者(←煉丹術派の道士)であれば、この「四象」というのは、世界中の精霊や人間が崇め奉るに足るものであることを知っているであろう。いにしえの書(←不明)に「四つの神秘的な丹薬」という言葉があるが、それこそこれらのことである。
よくわかんないけど「四象」はだいたい水銀で、一部が白金らしい。
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宋・張君房編「雲笈七籤」巻七十二より。彼岸にいるとみなさんが学校や会社や家庭やその他もろもろのところでご苦労している間に、こんなにタメになることばかりどんどん勉強できるのです。どんどん賢くなっちゃうよー。こんなに賢くなってもいいのかなあ。