平成25年9月15日(日)  目次へ  前回に戻る

 

本日もわ、わた、くし凡例斎が担当・・・い・・・た・・・し・・・ま・・・。

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晋の大夫・荀息献公にいうには、

宮之奇は確かに賢者でございますが、

宮之奇之為人也、懦而不能強諌、且少長於君、君暱之。雖諌、将不聴。

宮之奇の人となりや、懦にして強諌するあたわず、かつ少(わか)きより君において長ずれば、君これに暱(なじ)む。諌すといえども、まさに聴かれざらん。

宮之奇の性格は、やる気が無くて気が弱い。

強く君主に意見することなどできるはずがございません。それに、彼は幼いころから君主のお側で成長した小姓上がり。君主は彼のことを舐めていますから、意見したところで聴かれることはございません」

「懦」を「やる気が無い、気が弱い」と訳してみました。うーん。こんな人が賢者のはずがないであろうぐらいダメですね。

なお、「なじむ」と訓じた「暱」(ジツ)ですが、これは今の日本文では「昵懇」(じっこん)と書くときの「昵」(ジツ)と同じです。「小姓上がり」などと解しましたが、要するに宮之奇は、例えば殷の湯王を助けて王業をなさしめたという宰相・伊尹と同様に、古代チュウゴクの宮宰の正当な出自である「宮中奴隷」の出身なのでしょう。

「ふむ。それならやってみよ」

「あい」

荀息は早速、献公の宝物を預かって虞の国に向かい、虞伯に面会した。

「御承知のとおり、先年は冀(キ)の国が「不道」(道ならぬふるまい)をいたしましたので、征伐いたしました。あのとき冀の国を征伐できたのは、まったく虞伯さまがわたくしども晋のやり方をご支援くださったおかげでございます。そのお礼として、わたくしの主君から宝物(屈の馬四頭、馬車、及び垂棘玉の環)を預かってまいりました。

さて、今度は虢(カク)の国が「不道」を行って、我が晋の南の境の地を侵略しているところ、今回もどうか虞伯におかれて我が国をご支援いただき、わたくしどもが再びあなたさまのおかげだと感謝できるように取り計らっていただければと思い、参上した次第でございます。

敢請仮道、以請罪于虢。

あえて仮道を請い、以て虢に罪を請わん。

どうか軍隊の通る道をお貸しいただき、それによって虢を征伐いたしとうございます」

「おお、なるほど」

虞伯はすばらしい贈り物に喜んだし、強国の晋がそれほどに自分を評価していることにも喜んだ。なにしろ同族の国なのだ・・・。

「よろしいぞ」

と道を貸すことを承知しただけではなく、

請先伐虢。

先ず虢を伐たんことを請う。

「虢の国はけしからぬゆえ、わが虞も軍を出し、先陣を仕ろうぞ」

と共同して虢を攻めることを申し出たのであった。

はたして、

宮之奇諌、不聴。遂起師。

宮之奇諌すれども聴かれず。遂に師を起こす。

宮之奇は「あの、それは・・・」と意見申し上げたが、聴かれなかった。かくしてついに虞は晋とともにいくさを起こしたのである。

夏、晋里克、荀息帥師会虞師伐虢、滅下陽。

夏、晋の里克、荀息は師を帥(ひき)いて虞師に会して虢を伐ち、下陽を滅す。

この年(紀元前658年)、晋の名将・里克、参謀・荀息はその部隊を率いて虞の部隊と合流し、虢を征伐して、虢の下陽という城を落とした。

帰路、荀息は虞伯のもとを訪れ、篤く謝辞を述べるとともに、虞伯の功績を高く評価したので、虞伯は大いに満足したのであった。

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さて、その三年後。魯の僖公五年、すなわち紀元前655年のこと―ーー。

晋は今度は虢の国都・上陽を滅ぼすべくまた軍を動かすことにし、虞に道を借りることを申し出てきた。

このとき、宮之奇は激しく意見を申し上げたのであった。

虢、虞之表也。虢亡、虞必従之。晋不可啓、寇不可翫。一之謂甚、其可再乎。

虢は虞の表なり。虢亡べば、虞必ずこれに従わん。晋は啓すべからず、寇は翫(もてあそ)ぶべからず。これを一たびするも甚だしと謂う、それ再びすべけんや。

「虢の国は虞の国の覆いのようなものです。虢が滅亡すれば、虞は必ずその後を追うことになりましょう。晋の国にわからせることはできますまいし、軍隊というのは好きに扱っていいものではございません。先年一回やってしまっただけでも大変なことですのに、二回もすることはありえませんぞ!」

虞伯は押し黙ったままであった。

それは虞伯がまったく意見を聴く気のないときのスタイルだということはよく知っていたが、なお宮之奇は続けた。

「公よ、このような諺(ことわざ)をお聞きになったことはございませんか。

輔車相依、脣亡歯寒。

輔と車は相依り、脣亡べば歯寒し。

馬車の箱の横板と両側の車輪はどちらかが無ければ馬車にならない。くちびるが破れたら、歯はむき出しになって寒くなる。

これこそ、我が虞と虢の関係でございま・・・」

「ええい、うるさい!黙れ!」

虞伯はついに口を開いた・・・・・・・・・・・・

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のです・・・が、凡例斎の気力では、きょ、きょうはこ、ここま、まで・・・。精神力が無い、のです・・・。「春秋左氏伝」魯僖公二年・五年「晋伐虢」より。

く、くちびる亡んで歯寒し、の格言は有名です。ですから、ど、どうぞ、あちこちで、つ、使ってみてみてみてくだ・・・さ・・・い。

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