明日はしごとの世界、かなりたいへんみたい。どこかに身を隠したいものである。身を隠すといいことがあるかも・・・。
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後漢の末、三国志ファソのみなさまなら先刻ご承知のとおり、黄巾やら何進やら董卓やらなんやらかんやらが出まして世の中が大いに乱れた。
そのころ、ある若い宦官が、
上墓樹上避兵、食松柏実。
墓樹上に上りて兵を避け、松柏の実を食らう。
乱兵を避けるため、墓に立てられた木の上に昇って身を隠したが、そのまま空腹になってきたので松柏の実、要するに松ぼっくりを食べたのであった。
「うまい!」
からだに適ったのであろうか、これがなかなか美味だったのである。
松ぼっくりばかり食べているうちに、今度は、
遂不復飢。
遂にまた飢えず。
とうとう何も食べなくてもおなかがすかなくなってきた。
よかったですねー。
そのかわり、どういうことか
挙体生毛長尺許。
挙体に毛の長さ尺許(ばか)りなるを生ず。
からだ中に一尺ぐらいの毛がごわごわと生えてきたのであった。
―――さて、それから20年。
魏武侯・曹操のもとでようやく世の中が落ち着いてきた。
曹操さまはその毛人のことをお聞きになり、
収養、還食穀。
収養して、また穀を食わしむ。
この者に住処を与え、穀物を支給してやった。
毛人、穀物を食べると瞬く間にからだ中の毛が抜けおちたが、さらに
歯落頭白。
歯落ち、頭白し。
歯が抜けおち、頭髪は真っ白になってしまった。
のだそうだ。
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宋・劉敬叔「異苑」巻八。
荒唐無稽なゆめものがたりではありますが、人民のある種の憧れを表現しているのでしょう。あるいはわたくしの食生活への批判を含んでいるのかも・・・。