毎週のことですが、週のはじめと半ばと終わりごろは、あたまが痛い。
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これはまことに不思議な事件でございますが、元の至正丙午年(1366である)の夏のこと、江南の平江路のある村で、
当午、天大雷雨。
午に当たりて、天大いに雷雨す。
ちょうど正午のこと、大いに雷が鳴り激しい雨が降った。
さて、
有一富家正庁、安置匡牀胡椅円鑪台卓。庁傍一室、封鎖如故。
一富家の正庁に、匡牀・胡椅・円鑪・台卓を安置する有り。庁傍の一室は封鎖することもとの如し。
とある富豪の家の大広間に、箱型のベッド、折り畳みできる椅子、丸い金属製の火鉢、テーブルといったものがきれいに並べられていた。この大広間の横には小部屋があり、この部屋はいつものとおり閉じられていた。
どかん!
と一発。雷がこの館に落ちた。
雷雨が過ぎてから家人らが大広間に入ってみると、
雷震壁破、一孔如盞大。
雷震して壁破れ、一孔の盞の如き大いさなるあり。
雷が落ちたために一部の壁が破れ、隣の小部屋との間の壁にさかずきほどの大きさの穴があいていた。
しかして不思議なことに、
其牀椅鑪卓皆従此孔入、堆畳満室。
その牀・椅・鑪・卓、みなこの孔より入りて、堆畳して室に満つ。
並べられていたベッド、椅子、火鉢、テーブルの類は、すべてこの小さな穴から隣の小部屋に、吸い込まれたように入り込んでおり、部屋が狭いので積み重なって部屋中に満杯になっておったのだ。
なんという不思議なことでありましょうか。
ひとびとはみな頭をひねったが、誰ひとりとしてこの不思議を説明できたものはいなかった。
―――ところで、次の年に、下賤より身を起こした群盗の張九四という者が平江路に攻め込み、江南の五つの州を占領した。
江南の州はすべて繁華な地である。
張九四はその後、元末明初の大混乱の中、
享其富貴十余年。
その富貴を享くること十余年なり。
十年以上にわたってその富と王者としての高い地位を享受したのである。
そのときになって、やっと小部屋に家具がいっぱいになっていたことの意味がわかった。
蓋小能容巨、賤能居貴之象也。
けだし、小のよく巨を容るるは、賤のよく貴に居るの象なり。
つまり、小さな部屋が隣の大きな部屋の家具をすべて吸い込むことができたのは、張九四のような下賤な者が王者という貴い地位に就くことの前兆であったのだなあ。
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物理的には何の説明にもなっておりませんが、これで納得できたのならそれはそれでいいかも。明・葉小奇「草木子」巻三上より。
やっと月曜日だけ終わり。小部屋のようなものです。これから今週は四日も。しかも、大広間に家具が並んでいたように、毎日毎日複数のしごとのある日々が。