平成25年7月4日(木)  目次へ  前回に戻る

 

お江戸ざます!に上京してまいりました。いよいよおえらがたに最後の御奉公をさせていただけるらしい。

せっかくお江戸に上京してまいりましたので、これから最後までの指針を表明しておきますか。

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清宵独坐、邀月言愁。

清宵に独り坐しては、月を邀(むか)えて愁いを言う。

きよらかな宵に一人座ったまま、月に向かって心配事をぐちぐち言う。

良夜孤眠、呼蛩語恨。

良夜に孤り眠りては、蛩(きょう)を呼んで恨みを語る。

すばらしい夜に一人ふとんに入って、鳴きはじめたこおろぎに声をかけて恨み言をぐちぐち言う。

いやー、いい言葉だなあ。

「カゲとなく日向となくグチをこぼす」

という肝冷斎の人生訓にもぴったしです。

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「幽夢影」149章より。

こんな弱い心でおえらがたひしめきあうお江戸でやっていけるわけがないので、わたしにはもう秋は来ないだろうと思います。それまでに憔悴してか自ら裁するかは別としてこちら側にはいなくなるだろう・・・。

 

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