平成25年4月3日(水)  目次へ  前回に戻る

 

今日も疲れました。体重増えるし。どこか体悪いんかも知れぬ。

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嶺南(広州)には毒薬を用いる人が多い。

中でも「菌毒」とよばれるキノコ系の毒薬があり、これは今も(←唐代末期のこと)日常的に対立者を滅ぼすのに用いられている、という。

「菌毒」を用いるにはまずは「菌毒」を作らねばならないが、そのためには「人材」(材料たる人間)が必要である。

「人材」は別に特段の才能など要らぬので、術者はたいてい、自らの家に長く雇い、身寄りも無く体も衰えた老いた下僕がいれば、この老僕に気づかれぬように特殊な毒を飲ませるのである。

老僕はやがて苦しみながら、体中真っ黒に変色して死ぬのだが、

埋之土、堆上生菌子。

これを土に埋ずむるに、堆上に菌子を生ず。

これを土中に埋めるのだが、やがてその埋葬場所の上にキノコが生えてくるのだ。

このキノコがはげしい毒を持つのである。

そのうち、

其正当腹上食之立死。手足額上生者当日死。旁自外者数日死。漸遠者或一月両月、全遠者或二年三年、無得活者。

その正に腹上に当たるものは、これを食せば立ちどころに死す。手・足・額上に生ずるものは当日に死す。旁ら自外なるものは数日にして死す。漸く遠きものは或は一月・両月、まったく遠きものはあるいは二年・三年なり、得て活する者無し。

老僕の遺体の

○ちょうど腹の上あたりに生えたものは、これを服すると即死する。

○手や足、頭の上あたりに生えたものであれば、その日のうちに死んでしまう。

○体の上から外れた部分に生えたものなら数日。

○少し離れたものであれば一〜二か月で、

○だいぶん遠いところに生えたものだと二〜三年経つと死ぬ。

誰一人として助かる者はない。

あるいは、

有以菌薬塗馬鞭頭、馬控上拂、著手即毒、拭著口即死。

菌薬を以て馬鞭の頭に塗る有り、馬控上に拂いて手に著くれば即ち毒、拭いて口に著くれば即ち死す。

キノコを溶かして軟膏状にしたものを馬の鞭の先に塗っておく場合がある。馬に騎る者鞭を揮うに、鞭の先が鞍の上などをこすった後で、同じ場所を手で触れると毒が手につき、その手で口を拭ったりするとその場で即死するのである。

道具に塗っておいたり、あるいは服毒後数年してから効力を発生させるなど、術者が疑われることなく毒殺することが可能になるわけだ。

ただ、陳懐卿という医師の家に代々伝わる薬には、解毒の力があるといわれるが、たいへん貴重なものであるので、滅多なことで手に入らない。

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唐・張鶩「朝野僉載」より「太平廣記」巻二百二十所収)

わしはこういうのにやられているのかも知れません。ウイルス性のかも。おりしもPM2.5に続いて、H7N9型インフルエンザが上海で流行り始めているところです。どうせ大陸性の毒を食らうのなら、ハニーな毒を食わせて欲しかったものだが。いい「人材」だったかも知れないのになあ・・・。

 

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