←おもろちゃん。
うちゅん。
・・・・・・・・・・・・・・
劫余天地易黄昏、 劫余の天地は黄昏に易(か)わり、
十万人家幾戸存。 十万人家、幾戸か存す。
「劫」(ごう)は梵語kalpaの音訳である「劫波」(ごうは)の略。劫波(カルパ)は御存じのように宇宙の生誕から消滅までの長い長い時間のこと(ちなみに現在の宇宙はビッグバンから今まで145億年±7億年ぐらい、という)で、この劫波が終わり、宇宙が消滅するときには、「劫災」といわれる巨大災害が起こる、といわれる。「劫余の天地」はその「劫災のあとに残った天地」のこと。
巨大災害の後の世界は、薄明の宵を迎えたが、
十万あった人家のうち、今やいくつが残っているのであろうか。
立尽秋風唯有涙。 立ちどころに秋風を尽くしてただ涙有り。
饑鴉影乱水辺村。 饑鴉の影は乱る、水辺の村。
あっという間に秋風さえ吹きすぎてしまいただ涙だけが残った。
飢えたカラスが餌を探すのか、その影が水辺の村に乱れ落ちている。
・・・・・・・・・・・・・・
これは青木蓬洲という人の「災後所見」(災の後に見るところ)。この「災」は関東大震災で、蓬洲は名を彰といい東京のひと。「大正五百家絶句」巻一所収。
この詩を引いたのは東日本震災から二年、とかそういうのでなくて、半島で戦争が起こってこんなことになってしまうのではないか、とそろそろほんとに心配しているのである。
以上で終わり。土日休めないのでうちゅん。