本日はお東京からのお客様と懇親してきましたざます。お酒も入りましたが、相手はお東京の方ざますから、難しいお話もしておられましたよ。
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唐のことでございます。東都留守(洛陽総督)の苗晋卿は、しばしば禁を犯す軍人を処分することになった。
罪当杖罰。
罪は杖罰に当たる。
その罪状は、杖で打つ刑罰に相当した。
そのとき、苗晋卿は言いて曰く、
留守鞭武人甚易、捨之甚難。捨人之所易。
留守、武人を鞭うつは甚だ易く、これを捨つるは甚だ難し。人の易しとするとことを捨てん。
「総督の地位にある者が部下の軍人に体罰を与えるのはたいへん容易いことだ(。特別権力関係にあるから仕返しされることがない)。一方、罰を与えないで見逃すのは(外部からの批判も有り得て)たいへん困難を伴うことである。さて・・・、わしは普通の人が容易いとすることはしたくないな。」
そして、ついに罰を行わなかったのであった。
その軍人はこれに感激し、
自励、卒成善士。
自ら励み、ついに善士と成る。
自らがんばって心を入れ替え、ついにはよい人になったのであった。
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宋・銭易「南部新書」庚巻より。
世間で話題の体罰問題などに絡めてこんな話を持ち出してきたのかな、というような高級なお話は肝冷斎は全く絶対いたしません。単に、とにかく普通の「人の易しとするところを捨て」てへその曲がったことするといいことあるかも、という教訓?として紹介したのである。