今日は飲み会。今日のは気やすいやつでしたが、明日の飲み会は辛いやつ。辛い。もう寝ますよ。寝る前に・・・
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洪州(今の江西・南昌)でのことである。
木こりたちがある山深く入ったところ、
厳石之下、藤籮甚密、中有一女冠。
厳石の下、藤籮はなはだ密のして、中に一女冠あり。
大きな岩の下に隙間があり、藤やら蔦の類が繁茂しているのだが、その間から覗くと、その中に、一人の女道士の姿が認められた。
その女道士、
姿色絶世、閉目端坐、衣帔皆如新。
姿色絶世にして閉目端坐し、衣帔(いひ)みな新たなるが如し。
その容貌、この世のものではないほどにたいへん美しく、目を閉じて行儀よくお座りになっており、着ているもの、羽織っているものはみな新品のようである。
みな集まって覗き見たが、生きているのかどうかもよくわからない。
手を延ばせば届くほどの近くに見えるのだが、岩の隙間は狭く、人が入れる幅が無い。
木こりたちは
「生きているのかどうか、返事をしてみなされ」
と声をかけたが女道士は微動だにせぬ。
と、木こりの中の性の悪いのが、
「こんないい女がもったいないぜ。へへ」
と岩の隙間から手を伸ばし、その冠に手を触れようとした・・・・と―――
応手腐壊。
手に応じて腐壊す。
手を触れた瞬間、女道士の頭は真っ黒に腐り、埃のように散って消えた。
「うひゃあ!」
木こりどもはその場から一瞬退散した。
しばらくして、みなでまたそっと近寄ってみたが、そのときには岩の隙間は閉じてしまっており、
不能得見。
見るを得るあたわず。
もう隙間を覗き見ることもできなかったのだった。
ちなみに女道士の頭に手を触れた男は、祟りのようなものをたいへん気にしていたが、その後特段のことはなかったそうである。
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五代〜宋の徐鉉「稽神録」巻五より。
なんだったのであろうか。美しく見えているものでも、実は中は腐っているものがたくさんあるのかも知れませんよ・・・ということかな。