平成24年9月20日(木)  目次へ  前回に戻る

 

今日は頭痛激しく休んだ。会社には別の行った。あまり動かなかったはず。

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はい。さて、近世・沖縄。

少年之士、偶過蓑翁茅廬。

少年の士、たまたま蓑翁の茅廬を過(よ)ぎる。

まだ少年の士族(さむれー)が、みのかぶりのじじいの茅葺の家の前を通り過ぎたことがあった。

「少年の士族」は、以下「琉球童子」と言い換えます。悪しからず。

翁烹茶共語。

翁、茶を烹てともに語る。

じじいは、「ちょっと待ちなされ」と琉球童子を呼び止め、お茶を沸かし、いささかの会話をした。

「おまえさんは見どころがありそうな気もするが、無い可能性も高い。毎日どのようなことを日課にしておるのかな?」

琉球童子は言いました。

吾有利剣一口、吾祖求之世伝至今。吾日拭一拭、未敢些怠。

吾に利剣一口あり、吾が祖これを求め、世々に伝えて今に至る。吾、日に拭うに一拭いし、いまだあえていささかも怠らざるなり。

「おいらには、ぎとぎとに斬れる剣が一振りあるです。おいらの御先祖さまがどこかで手に入れて、代々伝えておいらに至ったもの。おいら、毎日毎日これを一回はきれいにして、ぎとぎとにしています。いまだ一日もさぼったことはありません」

―――利権が御先祖さまから伝わっていたらよかったのですが、「利剣」か。

「ほう」

じじいは一応相槌を打ったが、すぐにまた訊ねた。

「ほかに宝物は伝えられておらぬのかな?」

琉球童子曰く、

没有。

有るなし。

「ないのさー」

じじい、曰く、

此剣小宝也、世伝之宝唯汝之身也。何不日拭其身。

この剣は小宝なり、世々に伝わるの宝はただ汝の身のみなり。何日としてその身を拭わざらん

「その剣はちっぽけな宝ものじゃ。代々伝わってきたまことの宝は、おまえさんのその心身そのものじゃ。なのに、どうしておまえさんは、(剣ばかり拭ってぴかぴか磨いて)おまえさん自身を拭おうとしないのじゃ?」

「ええー!」

琉球童子はしばらく考え込んでいましたが、やがてじじいに礼拝し、その教えに感謝した。

―――琉球童子はそれまではあんまりお風呂に入らなかったのかな?

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「蓑翁片言」より。

「・・・これが、おいらがみのかぶりのじじいを師と仰ぐわけなのさ」

と琉球童子はにやにやと言いました。

若いうちに「おまえは大切なひとである」と言われたら、誰でもうれしくて仕方ないでしょうね。

「ふむ・・・」

肝冷斎はやんばるがえりの日焼けした顏で、首をひねった。

「みのかぶりのじじい、なかなか食えぬやつよな。いよいよわしが直接出向いて確かめてみるか・・・」

 

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