平成24年3月22日(木)  目次へ  前回に戻る

 

今日も残業中のひとびとの目を掠めて出かけ、大量に餃子を食べてきました。ああ、わしはダメな人間だなあ、わははは。

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戦国のころである。

比田武右衛門(ひた・ぶえもん)という者があって、とある大名のもとへ奉公したいと申し入れに来た。

武者奉行が応対し、

「おまえには如何なる武功があるのか」

と問うに、武右衛門は

「わしにはかぞえたてるほどの武功はございませぬ。まことの臆病者にござります」

と答えて子細気に笑うたのであった。

付き添いの肝煎(きもいり。紹介者)の者、立腹して

「どうしてそんなことを申すのか。過去の誉れあることを申し上げるべきである。

悪きことのみ申したる上は、定めてお抱え有る間敷(まじ)。

自分の欠点ばかり言うたのでは、お抱えになられるはずがあるまいに」

しかし、武右衛門、

「御当家ならば、深く御思慮あるべし」

とやはり子細ありげに笑うのであった。

「ふうむ」

武者奉行、そのままを主君に告げたところ、

果たして之を怪しみ、「其士しれものなるべし。能き働きは飾りても言出すべきに、悪きことのみ言て望むからは、其器量察すべきことなり」とて、目見得申し付く。

なるほどその発言を奇怪と思われたらしく、

「そやつは大馬鹿者じゃな。過去の功績は飾り立てて宣伝すべきものだが、自分の悪いところだけ言い、それでも仕官できる、と思っているわけだから、本当ならたいへんな能力を持っている、というわけじゃて」

と言いまして、面会することにした。

主君は武右衛門を一目見て、これを召し抱えた。

果たして目利きに違はず、武田の鬼武右衛門と異名成されたり。

確かに人を見る目は確かであって、この後彼は次々と無双のはたらきをいたし、「武田家の鬼のごとき武右衛門どの」とあだ名されたのである。

―――申し遅れましたが、この「大名」は信玄・武田晴信でございました。

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「名将言行録」巻之七より。

ということですから、わしのようなダメな人間こそ召し抱えるべきにございますぞ、わははは。(←中華料理屋でアルコール入って気が大きくなっている)

 

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