今日も残業中のひとびとの目を掠めて出かけ、大量に餃子を食べてきました。ああ、わしはダメな人間だなあ、わははは。
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戦国のころである。
比田武右衛門(ひた・ぶえもん)という者があって、とある大名のもとへ奉公したいと申し入れに来た。
武者奉行が応対し、
「おまえには如何なる武功があるのか」
と問うに、武右衛門は
「わしにはかぞえたてるほどの武功はございませぬ。まことの臆病者にござります」
と答えて子細気に笑うたのであった。
付き添いの肝煎(きもいり。紹介者)の者、立腹して
「どうしてそんなことを申すのか。過去の誉れあることを申し上げるべきである。
悪きことのみ申したる上は、定めてお抱え有る間敷(まじ)。
自分の欠点ばかり言うたのでは、お抱えになられるはずがあるまいに」
しかし、武右衛門、
「御当家ならば、深く御思慮あるべし」
とやはり子細ありげに笑うのであった。
「ふうむ」
武者奉行、そのままを主君に告げたところ、
果たして之を怪しみ、「其士しれものなるべし。能き働きは飾りても言出すべきに、悪きことのみ言て望むからは、其器量察すべきことなり」とて、目見得申し付く。
なるほどその発言を奇怪と思われたらしく、
「そやつは大馬鹿者じゃな。過去の功績は飾り立てて宣伝すべきものだが、自分の悪いところだけ言い、それでも仕官できる、と思っているわけだから、本当ならたいへんな能力を持っている、というわけじゃて」
と言いまして、面会することにした。
主君は武右衛門を一目見て、これを召し抱えた。
果たして目利きに違はず、武田の鬼武右衛門と異名成されたり。
確かに人を見る目は確かであって、この後彼は次々と無双のはたらきをいたし、「武田家の鬼のごとき武右衛門どの」とあだ名されたのである。
―――申し遅れましたが、この「大名」は信玄・武田晴信でございました。
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「名将言行録」巻之七より。
ということですから、わしのようなダメな人間こそ召し抱えるべきにございますぞ、わははは。(←中華料理屋でアルコール入って気が大きくなっている)