平成23年10月19日(水) 目次へ 前回に戻る
寒くなってきましたね。
・・・それでは、みなさんはがんばってください。おいらは今週あと二日も出勤するの無理。世間様にはもうついていけません。
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世間様についていけなくなったついでに、イヤがらせしてやるぜ。
今日は「天下のために一毛も損ぜず」(世の中のためには一本の毛さえ使おうとしなかった)といわれる利己主義の楊朱の話をして、世間様を困らせてやる。ひっひっひ。
さて、楊朱は梁の國にやってきて、王様に面会すると、
治天下如運諸掌。
天下を治むるはこれを掌(たなごころ)に運(めぐ)らすが如し。
「わしにとっては天下を治めるのはたやすいことにござる。天下なんて、ほれ(楊朱は自分の掌を指さし)、この上でぐるぐるさせることができるぐらいのものなのでござるよ」
と豪語して、
「ひっひっひっひ」
と笑った。
梁王、不愉快そうに言うた。
先生有一妻一妾而不能治、三畝之園而不能芸。而云治天下運諸掌、何也。
先生、一妻一妾ありて治むるあたわず、三畝の園ありて芸(くさ)ぎるあたわず。しかるに「天下を治むることこれを掌に運すがごとし」と云うは、何ぞや。
「先生には正妻一人と側女が一人おられると聞きますが、ご家庭はたいへん荒れておられるとか・・・。3アールほどの畑地を持っておられると聞きますが、耕作もしておられないという・・・。それなのに、「天下なんて、てのひらの上でぐるぐるさせることができるぐらいじゃ、ひっひっひっひ」とは、どういうことですかな?」
「む」
先生はいきなりプライバシーに踏み込まれたのですが、そこはさすがは天下のために一毛も損じないというほど利己的なひとでありますから、負けてはいない。
「ああ、王は御存じないのですかなあ・・・」
とすぐさま反撃をはじめるのであった・・・・。
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が、夜遅くなってきたので明日以降に続きます。「列子」楊朱篇より。それにしても楊朱先生が女房も愛人もいる「リア充」男だったとは驚きですね。しかし考えてみればだからこそ生活のために梁王のところに行って求職行為をしなければならなくなった、ということですから、「リア充」はたいへんだなあ。やはりリアル三次元より二次元の方がいいのだぜ。