もう寝ないといけないのです。明日も起きないといけないからです。明日も、明後日も、もう起きなくていいならいいのにニャ。
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唐のころ、寿安の町に男ひとりあり。その姓名・出身等すべて不明であったが、ときおり市場のあたりに立っていた。
彼はつねに
一烏犬解人語、応口所作与人無殊。
一烏犬の人語を解し、口に応じて所作すること人とことなる無し。
一匹の黒犬を連れていたが、この犬は人の言葉を解するらしく、言葉に応じて振る舞うこと、まったく人間のようであった。
彼自身は、
肘拍扳、鼻吹笛、口唱歌。
肘にて扳を拍(う)ち、鼻にて笛を吹き、口にて歌を唱う。
ひじのところに拍子木を挟んで打ち鳴らし、手には笛を持ってこれを鼻で吹き、口で歌を歌うのだ。
そして、
能半面笑半面啼。
よく半面笑い、半面啼く。
顔の半分で笑いながら、もう半分で涙を流して泣くことができた。
市中のひとびと彼の芸をたいへん楽しみ多くの銭を恵んだから、彼はイヌを連れ、酒食を得てどこへともなく帰っていくのが常であったという。
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唐・張鷟「朝野僉載」巻六より。
半面で笑いながらも半面では泣く。われらの毎日の姿ではないか。ああ、だからわれらも銭を恵まれて帰ってくるのか。納得。