けだるい。
ウツですしのう。
何か書こうという気力がないのですが、何も書かないで寝ると
「肝冷斎はもう何も知らないのだろう、だから書けないのだろう」
と言われる。悲しいのです。何か書いて「ほかのことも知っているのだ!」とあがいて、から寝ることにします。
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緑雲高幾尺。 (緑雲、高さ幾尺ぞ。)
葉葉畳清陰。 (葉葉に清陰を畳む。)
雨過更成趣、 (雨過ぎてさらに趣きを成し、)
蝸牛陟翠岑。 (蝸牛、翠岑(すいしん)を陟(わた)る。)
この緑色の雲は、もくもくと湧いて何尺の高さがあるのだらう? ―――雲かと思ふたが、樹木であつた。
葉の一枚一枚に、夏にもさわやかな陰の気を包みこんでゐる。―――気を包んでゐると思ふたが、日陰を作つて呉ていたのだ。
(午後、)一雨降つた。あんばいはもつとよくなつた。
ほら。小さなカタツムリが、緑の峰(木の高いところ)を渡つていくのが見えるだらう?
・・・あんまりいい出来ではない気がしますが、明治四十五年七月、夏目漱石氏の「無題」詩である。
いよいよ、夏が来る。今年の夏は冷房無いし、避難所は大変になるらしい。しかも今年の夏は放射性物質とテロルの雨気を運んでくるのだぞ。
蝸牛(まいまい)や五月(さつき)をわたるふきの茎 (大正五年)