少しMizumusiがうずいてまいりました。春なのだろう。
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張祐というひと、長安に上って大臣の李紳に面会す。
自己紹介に言うことには、
「ひとはわしのことを
釣巨鰲客
と呼ぶのでごわす、わっはっはっは」
すなわち
巨大なオオガメを釣り上げる(すごい)おとこ
というのである。
ぎろり。
李紳は小柄ながら眼光鋭く気迫あり。張祐をぎろりぎろりとにらみすえながら、
以何為竿。
何を以て竿と為す。
「何を竿にして釣り上げるのじゃ?」
張答えて
以虹為竿。
虹を以て竿と為す。
「竿は虹でごわす」
以何為鈎。
何を以て鈎と為す。
「何をハリにして釣り上げるのじゃ?」
以月為鈎。
月を以て鈎と為す。
「ハリにするのは三日月でごわす」
以何為餌。
何を以て餌と為す。
「何をエサにして釣り上げるのじゃ?」
以短李相。
短なる李相を以てせん。
「されば・・・チビの李大臣さまをエサにして釣り上げたいと思うのでごわす」
李紳しばらく黙然たり。にこりともせず張を下がらせた。
ちなみに、李紳は白楽天の友人だそうである。
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唐・馬総の撰という「大唐奇事」より(「類書」所収)。
春になるとこんなひとが多くなる・・・と思います。