平成23年4月9日(土)  目次へ  前回に戻る

 

少しMizumusiがうずいてまいりました。春なのだろう。

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張祐というひと、長安に上って大臣の李紳に面会す。

自己紹介に言うことには、

「ひとはわしのことを

釣巨鰲客

と呼ぶのでごわす、わっはっはっは」

すなわち

巨大なオオガメを釣り上げる(すごい)おとこ

というのである。

ぎろり。

李紳は小柄ながら眼光鋭く気迫あり。張祐をぎろりぎろりとにらみすえながら、

以何為竿。

何を以て竿と為す。

「何を竿にして釣り上げるのじゃ?」

張答えて

以虹為竿。

虹を以て竿と為す。

「竿は虹でごわす」

以何為鈎。

何を以て鈎と為す。

「何をハリにして釣り上げるのじゃ?」

以月為鈎。

月を以て鈎と為す。

「ハリにするのは三日月でごわす」

以何為餌。

何を以て餌と為す。

「何をエサにして釣り上げるのじゃ?」

以短李相。

短なる李相を以てせん。

「されば・・・チビの李大臣さまをエサにして釣り上げたいと思うのでごわす」

李紳しばらく黙然たり。にこりともせず張を下がらせた。

ちなみに、李紳は白楽天の友人だそうである。

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唐・馬総の撰という「大唐奇事」より(「類書」所収)。

春になるとこんなひとが多くなる・・・と思います。

 

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