故・山本夏彦さんが「マスコミは次の大事にも必ず国を誤る」と何度も繰り返しおっしゃっておられたが、どうやらそろそろその予言が成就してきたみたいですね。(悲)
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金門の道士・李錬師さまは、かつて章宗皇帝(金:在位1189〜1208)に招かれて天長観の提点(住持)にもなった高徳のひとだ。
年八十一になったとき、李道士を尊崇する王守中というひとが、道士の長寿を記念して石碑を立てることとし、石工を呼んで板石に文字を彫らせていたところ、
石中得一亀。
石中に一亀を得たり。
石の中から一匹のカメが出てきたのだ。
「おお、出ましたか、出ましたかのう」
たまたまであったか予想していたのか、その日作業場に足を運んでいた道士はその亀をもらい受けて、
日在几案間馴狎。
日に几案の間に馴狎す。
毎日つくえの上に飼いならしてかわいがっておられた。
が、百日ほど経った日、
風過失所在。
風過ぐるに所在を失えり。
ぷい、と風が過ぎたときに、いなくなった。
道士、特段驚くでもなかったが、「そうか、お前が先であったかな」と残念そうであった、とさ。
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不思議なことですなあ。
石から生物(特に魚類)が出てくる類話は多い(例えば次のお話)が、風とともに去るのはあまり知らぬ。
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長葛の禹冀之というひと、泰和年間(1201〜08)に華山で隠者・薛自然というひとと出会い、不思議な話を聴いた。
華山の石工・某が石を切り出したところ、
石中一蟇跳出。
石中より一蟇跳ね出づ。
石の中から、一匹のガマガエルが飛び出してきた。
そして、
「あ」
という驚いている間に、
尋入水中。
尋いで水中に入る。
そのまま水中に飛び込んで、どこかに行ってしまった。
というのである。
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いずれも元遺山「続夷堅志」巻二より。どちらも章宗の時代、金の盛世のことである。・・・そのあとわずかに数十年で国は亡んだのだがネ。