平成22年11月24日(水)  目次へ  前回に戻る

みなさんは何の肉がお好きですか。

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蘇東坡はブタ肉(「猪肉」)がお好きだったのだそうでございます。

あるとき、「食猪肉詩」(猪肉を食らうの詩)という詩を作った。

黄州好猪肉、     黄州の好猪肉、

価賎等糞土。     価賎にして糞土に等し。

富者不肯喫、     富者はあえて喫(くら)わず、

貧者不解煮。     貧者は煮るを解せず。

慢著火         慢に火を著し、

少著水、        少しく水を著さば、

火候足時他自美。  火候足るの時 他(かれ)自ずから美ならん。

毎日起来打一盌、  毎日起来して一盌(わん)を打ち、

飽得自家君莫管。  自家を飽得するも君管するなかれ。

 黄州にはよいブタ肉がありますが、

 値段はゴミ・泥のように安い。

 お金持ちは食おうともせず、

 貧乏人も煮て食う工夫がない。

 ゆっくり火にかけ、

 水は少しだけにして煮てごらん。

 十分な時間じっくりと火がとおれば、それはおのずと旨くなる。

 毎日毎日(美味いし安いから)一碗づつ食べ続け、

 (ぶたのようなわしは)自分を食べたみたいに腹いっぱいになっているが、おまえさん、気にしなくていいよ。

東坡はおふざけもあってこう書いているのだが、五代の黄昇というひとは、

日食鹿肉二斤。

日に鹿肉二斤を食らう。

毎日毎日シカの肉を1.2キログラム食うのであった。

しかも、

自晨煮至日影下西門、則曰、火候足矣。

晨より煮て日影の西門に下るに至りて、すなわち「火候足れり」と曰えり。

朝から煮始めて、日が落ちて西の門の向こうに隠れるころになって、ようやく「火が通ったな」と言うたという。

如是四十年。

かくの如きこと四十年。

そんな生活を四十年も送っていた。

と、「雲仙散録」に書いてある。ただし、「雲仙散録」には「安成記」という本に書いてある、と書いてあるので、孫引きである。

このひとは肉を煮るだけでもこれだけのことをしたのだ。このひとの伝記はこのことしか伝わっていないが、このひとの人生がどのように充実したものであったか、想像できようというものだ。

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と、周紫芝「竹坡詩話」に書いてあった。

みなさんはどうですか? そうですか、やはり●肉が好きですか。ぐふふ。なるほどのう・・・。では明日はその類のお話をしましょうかな。明日も更新することができますならば。

 

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