「回君伝」の続きです。
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・・・わたしは村のひとたちに答えてやりましたよ。
「はあ?
君輩烏足与飲。
君が輩、いずくんぞともに飲むに足らんや。
おまえさんたちがどうしてともに飲むに足るような相手なのだね?」
相手はひるんだ。
わたしは引き続いて言う、
「わたしはかつて、おまえさんたちと飲んだことがある。おまえさんたちは、心には何か思うところがあるようで、目はどこか見つめるところがあるようで、さかずきが手にあるのに別のことを考えていたじゃないか。
強為一笑、随即愁然。
強いて一笑を為すも、随いて即ち愁然たり。
無理にひと笑いしたあと、すぐにもう心配ごとが生まれてくるようだったじゃないか。
いつでもみなさんは大事な何かに縛られておられるようで、いつまでもその場にいるというわけでもなく、たまたま酔えたとしても逆に何とか身繕いしようとするばかり。(・・・・わたしはちょっと回ってきた。)
夫人生無事不苦独把杯一刻、差為可楽、猶不放懐、其鄙如何。
それ、人生事無く苦しまずして独り杯を把すること一刻、やや楽しかるべしと為すに、なお放懐せざるは、その鄙いかん。
だいたいですよ、人生には事件も無く苦労も無しにさかずきを一刻も手にしていられるときぐらいは、ちょっとは楽しい時だ、というべきなのですが、そんなときでも自分を解放しない。なんとダメなことではないですかな。
いにしえのひとは酒を飲んで、それでも心がのびやかにならないことを心配して、弦楽器を奏し管楽器を奏し歌を歌い舞いを舞わすことを考えたのだ。それなのに、あんたたちのようなひとが目の前にいて、どうやってうまい酒が飲めるというのかね。うひゃうひゃ」
「・・・・・」
「ところが回さんは違うんだよな」
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以下、また次回。明日は早いんです。そしてかなりつらいんです。