平成22年10月4日(月)  目次へ  前回に戻る

みなさん、次の四つの国うち、どの国のひとと最も仲良くなりたい・・・ですか。

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その1

福建より東南に向かった海上に

沙華公(さかこう)(注1)

という国があります。

その国のひとびとは、

多出大海劫奪、得人縛而売之闍婆。

多く大海に出でて劫奪し、人を得て縛りてこれを闍婆に売る。

多くは大いなる海原に出かけ掠奪を行い、ひとを拉致して縛り上げると、ジャバに連れて行って売り飛ばす。

(注1)近人・馮承鈞はブルネイ島東南のサワク(古名「セベク」)に比定しておられる。

その2

シュリービジュヤ国の近くに文明の及ばぬ蛮族の住む島々がありまして、その名を

麻羅奴(まらど)(注2)

という。

この島に貿易船が漂着しますと蛮族どもがわらわらと出てきて、

擒人以巨竹挟而焼食之。

人を擒らえ、巨竹を以て挟みてこれを焼食す。

漂着した人を捕らえ、巨大な竹の割れ目にそのひとを挟み込んで火にかけ、焼いて食べてしまう。

蛮族の長は抜歯の俗あり、さらに歯を抜いた後に黄金をはめこんでいるから、闇中にも口の中だけが光って見えるそうじゃ。

そして、彼らは、

以人頭為食器。

人頭を以て食器と為す。

ニンゲンの頭蓋骨を食器にしている。

のである。

ところが、この蛮族どもにも恐れる者がある。それは自分たちより島の奥地に住む蛮族どもであって、奥地の蛮族に捕らわれて食われる者が多数あるのだというのである。そのさらに奥にももっとひどい蛮族がおり、奥へ行けば行くほど、蛮族の度合いはいよいよ甚だしく救いようがなくなるということである。

(注2)馮承鈞大先生はサワクの西北にあるマラノに比定しておられる。

その3

ところでこの麻羅奴からさらに東南に行くと

女人国(注3)

がある。

この国のまわりでは海水は常に東に向かって流れているが、数年に一度高波を起こして、「蓮肉」というものと巨大な「桃の種」を運んでくるという。

「蓮肉」は長さ一尺余の棒状のものであるということであるが、何に使われるものであるか判然としない。

桃核長二尺、人得之、則以献于女王。

桃核は長二尺、ひとこれを得れば、すなわち以て女王に献ず。

桃の種は大きさ二尺もあり、ひとびとはこれを入手すると、必ず女王に献上する。

何かに使われるのか、あるいは中に何かが入っているのか、部外者にはわからない。

かつてある貿易船がこの国に漂着したことがあった。

船に乗っていた多くの船乗りたちは

群女携以帰、数日無不死。

群女携えて以て帰り、数日にして死せざるなし。

女人国の多くの女性の方々に連れて行かれてしまい、数日のうちにみんな死んでしまったという。

たった一人、

夜盗船亡命得去、遂伝其事。

夜、船を盗みて亡命して去るを得、ついにそのことを伝う。

夜闇の中、船を盗んで逃げ出すことができて、はじめてこれらのことがわれらに伝わったのである。

こんな国でしたら、指導者層は女性比率が高いから、平和で豊かな国になるのでしょうなあ。

なお、

其国女人、遇南風盛発、裸而感風、咸生女也。

その国の女人、南風の盛発するに遇い、裸して風に感じ、咸(みな)女を生ずるなり。

その国の女性は、南風が盛んに吹いてくる時節になると、素はだかになって風とまぐわい、孕んで子を生むのだが、その子はすべて女性なのだ。

(注3)晋・張華さま「博物志」以来有名な島国ですが、ゲンダイの地図上のどこにあるかは知りません。知りたいひとはグーグル・マップで調べてみてください。

その4

シナ人民帝国

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いずれ劣らぬおそろしい方々ばかりですねー。なお、「その1」〜「その3」の記述は、宋・周去非「嶺外代答」巻三より(「東海海上諸雑国条」)。

 

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