「岡本全勝さんのHPが更新できなくなっているらちいの」
さて。
こういう話をしているとマネするひとが出るといけませんが・・・。
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呉友府の主事であった張元吉の家で以前雇っていた下僕は、ほかのことは大して能力も無かったが、ネズミ(参考→こちら)を捕るのが得意であった。そして、得意であったから好きになったのか、もともと好きであったから得意になったのかは知らぬが、ネズミを捕らえてきては手足を別々にしたりハラを裂いたりして、残虐に殺すのを好んだ。
この下僕がある晩、
睡熟微覚足痛。
睡熟するに微かに足の痛きを覚ゆ。
ぐっすり眠っていたとき、少し足が痛いような気がして目を覚ました。
手を以て探ってみるに、一匹のネズミがその足の指に噛み付いていたのであった。
思い切り殴りつけてみたが離れようとしない。
「けしからぬやつじゃ」
とネズミの尾をつかんで引き離そうとしたが、引っ張っても噛み付いたまま離れようとしないのである。
痛極。
痛み極まれり。
足指は引きちぎられそうに痛んだ。
それでも思いきり引っ張ったところ、
びち
という鈍い音とともに尻尾が切れた。
しかし、ネズミは齧り付いた歯を離そうとしないのだ。
「くそ、こいつめ」
灯りをつけ、刃物を出して、ネズミの腹に突き刺した。ネズミは一段と歯に力を込めて足指を噛む。
「ぐわわわ、ひいいいい」
下僕は痛みに泣き叫びながら、ネズミを切り刻んだ。ネズミはいよいよ強く齧り付いた。
乃殺鼠、劈口方脱。
すなわち鼠を殺し、口を劈(さ)きてまさに脱す。
ようやくネズミを殺したときには、ほとんど首から上だけになったネズミの頭が、足指にかじりついている状態であったのである。
下僕は顔をしかめながらネズミの口の隙間に刃物を入れて、口を引き裂き、そうしてやっと齧り付いた歯を外すことができた。
そのときにはベッドの上はネズミの残骸と下僕の血で真っ赤に染まっていたほどであった。
その傷口は数日で塞がったが青黒く腫れ上がり、
膿潰経月、痛楚而死。
膿潰れて月を経て、痛楚して死す。
潰れて膿を流すようになり、下僕は一ヶ月ばかり苦しんだ末死んでしまった。
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明・朗瑛「七修類稿」巻四十八より。
ところで、みなさんはこの話を読んで、どちらの教訓を得ますかな。
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弱いものや小さいものをイジめたりコロしたりするのは、あまり楽しまないようにいたしましょう。身を滅ぼしてでも復讐してくるかも知れんからな。
A
強いものに抵抗するのは諦めましょう。相手に相応の傷を負わせることはできるかも知れませんが、こちらはぶちゅぶちゅに切り刻まれるようにコロされますからのう。