↑これも鳴くとうるさいかも。
昔、犬吠崎に行きました。
しかしその後長いこと行っておりません。また行こう、と思いながら、犬吠崎は鉄道の乗り換えは面倒くさいし、直通のバスも無いのでなかなか・・・。
このお話は、次に犬吠崎まで行った後でご紹介すると時宜に適った感じがしていいのですが、しばらく行く機会は無いようだし、また人生に悲観的になってきたので、暖めているうちにぶちゅ、とイってしまうかも知れませんので、ご紹介してしまうことにしました。
・・・江西・婺源県にひとの背丈より大きな、黄色い岩がありました。この岩、
自山墜於渓側。瑩徹可愛。
山より渓側に墜つ。瑩徹(えいてつ)愛すべし。
山上から渓谷のほとりに落ちてきたのであるが、きらきらと光り、透き通り、たいへん美しい。
少し離れたところからその岩を見ると、その中に何か・・・ひとのようなもの?・・・がいるようにも見えるのです・・・が、近寄ってじっと見つめてみると、さっきのは目の錯覚であったか、ぼんやりとしていてわからない。
とにかく、その岩が渓谷のほとりに落ちてきてからというもの、
群犬見而競吠之。
群犬見て競いてこれに吠ゆ。
犬どもがこれを見て、まるで競争するかのように吠えかけるのであった。
毎日毎日うるさく吠えるので、
村人不堪其喧、乃相与推致水中。
村人その喧しきに堪えず、すなわち相ともに水中に推致す。
村人たちはやかましくてがまんできなくなり、相談してみなで押して渓谷の水の中に落としてしまった。
しかし、
犬又俯水而吠愈急。
犬また水に俯して吠えること愈いよ急なり。
犬どもは渓谷を覗き込んで岩に吠えること、これまで以上にうるさくなった。
ああ、うるさい。
村人たちはみなでまた相談し、総出で渓谷に下りてこの岩を砕いてしまった。
別に中からは何も出てきませんでした。
そして、
犬乃不吠。
犬すなわち吠えず。
犬どもはもう吠えなくなった。
のであった。
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不思議なことですなあ。(犬吠崎とはあまり関係ありませんでしたが)
このお話は、五代〜宋の徐鉉、字・鼎臣の「稽神録」巻一より。相変わらず下らん話ですね。この徐鉉さんがもとは南唐国の宰相だったと聞くと、その国が滅んでしまったのもムベなるかなじゃ。