↑ワン大人。
朝が早かったので眠いです。
昨日は文句が多かったのですが、今日は大人しい心となっています。落ち込んでいるのです。しようがないのでまた更新することにしました。
それにしても、今日は東京は寒かったですから、寒い日の話をいたしましょう。
・・・ある晩、わしは二人の友人と、合わせて三人で夜中に座談し、鬼神変化のことを話し合っていた。
怪奇談をしていたのです。
時風雪寒甚。
時に風雪して寒甚だし。
その晩は風吹き雪舞い、たいへん寒かった。
友人の一人(A)が見聞きした怪奇のことを話しこんでいるときである。
別の一人(B)が突然、「あ」と小さく叫んで、窓の外を指差したのだ。
わしらはその指の先を見て、また「あ」と声を出してしまった。
窗外忽有流蛍。
窗外に忽ち流蛍有るなり。
小窓の外に、いつのまにか蛍が飛び交っていたのだ。
さっきまで雪が舞い散っていたはずなのに・・・。
と呆然とする間に、
須臾千万、不可勝数、往来離合。
須臾に千万となり数うるに勝(た)うべからず、往来離合す。
あっといううちに千にも万にもなり、数えることができないほどになって、行き来し、ぶつかりあっていた。
どれぐらいの時が流れたか。たいへん長い時間だったように感じたが、後で思い合わせてみると、実はいくつか呼吸をする程度の時間だったようである。
変作大声而去。
変じて大声を作(な)して去る。
突然、大音響とともにすべて消え去ってしまった。
友人Aはご存知のとおり剛直で鳴った男であるが、それでも顔は強張り動揺していた。わしと友人Bは大音響に驚いて腹ばいになり、耳を手で押える始末であった。
さてさて。
俗に云うではござらぬか。
昏夜無説鬼、説鬼則怪至。 昏夜に鬼を説く無かれ、鬼を説けばすなわち怪至らん。
白昼無談人、談人則害生。 白昼に人を談ずる無かれ、人を談ずればすなわち害生ぜん。
暗い夜に精霊のことを話してはならぬ。精霊のことを話せばすなわち不思議のことが起こるであろう。
真昼間に他人のことを評してはならぬ。他人のことを評すればすなわち命が縮まるであろう。
と。
わしらは夜中に怪を話したので、不思議なものを見てしまったのである。昼間に他人さまのことをあれこれとうわさしているとどんなことが起こってしまうかわかりませぬぞ。
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宋・呉淑の「江淮異人録」に書いてあった。光が音と連動して怪を為す点、昨日のお話の参考になるなあ、と思って紹介したのである。ちなみに、悪いことが起こるのがイヤなら、真昼間に怪奇の話しをし、夜中に他人の陰口を言えばいいのであろうか。