「もうルイスは来ないんじゃぞ」
今晩は寒いですね。
唐・玄宗皇帝の時代、長安の貴族たちも寒いのはイヤでした。
そんなところへ、交趾の国(今のベトナム北部)から
進犀一株色黄如金。
犀一株の色黄にして金の如きを進む。
サイを一本――黄金色のもの――を献上してきた。
「犀」を「一株」と、植物のように数えているのは、ドウブツのサイそのものではなく、サイの角だけを「犀」と表記しているからである。献上されてきたのはサイではなく、サイの角なのである。
このサイの角、
以金盤置于殿中、暖気襲人。
金盤を以て殿中に置けば、暖気人を襲う。
黄金のお皿の上に立てて、宮殿の中に置いたところ、これから発出される暖気がひとびとを温めたのであった。
「おお、これは暖かいのう」
「おほほ、まるで春の陽だまりにいるようですわね」
と皇帝もお妃さまも大喜び。
交趾国の使者は鼻高々で、
此辟寒犀也。
これ辟寒犀(へきかんさい)なり。
これは「寒さを防ぐサイの角」という宝ものでございます。
と得意になって御紹介したものであった。
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一体どういう仕組みになっていたのかわかりませんが、五代・王仁裕「開元天宝遺事」(曾端伯「類説」所収)に書いてあるのですからウソでは無いでしょう。
そういえば、明日はどこかの国の副主席が来るのでしたな。