「ジャマするな、でコケ!」とコロポックルを押しのけて急ぐニワトリたちだ。どこに急ぐのか。「山中に隠棲するのでコケ―!」
また出奔。山中にてうだうだぐずぐずしております。
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もう何十年も、うだうだしてるなあ。こんなことしているのも、あと何年ぐらいなのかなあ。
何以長惆悵。 何を以てか長く惆悵(ちゅうちょう)するや。
人生似朝菌。 人生は朝菌に似たるに。
なんでこんなに長くうだうだぐずぐずしているのか。
人間の生なんて、朝に生じて午後には枯れるコケと同じ(ようなはかないもの)なのに。
はあ、コケコケ。
那堪数十年、 那(な)んぞ堪えん、数十年、
新旧凋落尽。 新旧、凋落し尽くしぬ。
どうして数十年という年月を過ごしていくことができるのか、(それだけ過ぎれば、)
最近知り合ったやつも昔知り合ったやつも、みんな落ちぶれ滅んでしまっているではないか。
以此思自哀、 此れを以て思うに、自ら哀しみ、
哀情不可忍。 哀情、忍ぶべからず。
このことを思っているうちに、自分でもかなしくなってきてしまった。
かなしいキモチが、もうがまんできない!
というぐらいである。
ああ。
奈何当奈何。 奈何(いか)んせん、まさに奈何(いか)にすべきや。
どうすればいいのだ。ほんとうに、どうすればいのだ。
うーん・・・。―――――そうだ!
脱体帰山隠。 体を脱して山に帰りて隠れん。
世俗的身体を放り出して、山中に帰り隠棲しよう。
ということで、山中に入ることになりました。
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「寒山集」より。しばらく・・・、数十年ぐらい隠棲してます。なのであとよろしく。うっしっし。