令和元年5月22日(水)  目次へ  前回に戻る

右・李白、左・杜甫の在りし日の姿である。この二人に比べて白楽天はかなり出世していることもあり、空気も読めたしアタマもまともだったのだろうと思われる。

やっと水曜日だ。とはいえ洞窟の中に暮らしているのであまり曜日は関係がありません。もしかしたら金曜日で、明日はもうお休みかも。

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洞窟といえばコウモリが幅を利かせております。

千年鼠化白蝙蝠。

千年の鼠、白蝙蝠に化す。

ネズミは千年生きると、白いコウモリに変化するという。

・・・とは、また大きく出たものです。普通は

百歳之鼠化為蝙蝠。

百歳の鼠、化して蝙蝠と為る。

ネズミは百年生きると、変化してコウモリになる。「玄中記」

のですが、白いコウモリは十倍の千年だというのだ。

白髪が3センチぐらいなのに三千丈(≒5,000メートル)だと言い張る人たちですから、十倍ぐらいなら許容範囲かも。

コウモリたちは、

黒洞深蔵避網羅。

洞に深く蔵して網羅を避く。

暗黒の洞窟深くに隠れて、人間たちの網を逃れているのだ。

かくして、

遠害全身誠得計。

害に遠ざかり身を全うす、誠に計を得たり。

損害から遠ざかって己の身を安全に守るとは、本当に作戦通りである。

されど、

一生幽暗又如何。

一生幽暗、また如何ぞや。

一生涯、そうやって日の当たらないところで生きているのは、またどうであろうか。

コウモリたちには後悔の無いものなのか。

―――いや、全然ありませんでチーチー。

―――洞窟はあまり寒くならないし、シアワセでチー。

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唐・白楽天「山中五絶句」より「洞中蝙蝠」。白楽天は晩年、洛陽で悠々自適を楽しむ様子であったが、改革派として心に思うところもあったので、コウモリに問いかけているのであろう、というふうに解されています。

 

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