若いころは毎日洗面器でラーメンを食いたいと夢見ていたものだが、今はムリである。
むにゃむにゃ。
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このような洞穴によく来てくださいましたな。
吾斎之中、不尚虚礼。凡入此斎均為知己、随分款留。
吾が斎の中は虚礼を尚(たっと)ばず。およそこの斎に入れば均しく知己と為し、分に随いて款留(かんりゅう)す。
この肝冷斎の中では、世間様の空虚な礼儀などは尊重しておりませんでな。我が斎にお入りいただいたら、みんな同じように知合いじゃ、わしのできる限りのことをして、楽しく滞在していただきたい。
「款留」の「款」はここでは「歓」と同義です。
ノミ、シラミ、昆虫、小動物など不快・不潔なものたちもおるかも知れませんが、気にしないようにしてください。
ここでは、
忘形笑語、不言是非、栄利不侈、フ談古今、静玩山水。
形を忘れて笑語し、是非を言わず、栄利に侈(おご)らず、古今をフ談し、静かに山水を玩(もてあそ)ぶ。
外形を気にすることなく笑い語り合い、正しいか正しくないかといった議論はせず、どちらがえらいとかおカネを持っているかということを誇らず、今と昔のことを目的もなく語り、心静かに山や川、自然の風景を楽しむのだ。
清茶好香、以適幽趣。
清き茶と好き香と、以て幽趣に適わしからん。
爽やかなお茶を点て、心地よいお香を焚けば、この静かな楽しみにちょうどふさわしいでしょう。
臭味之交、如斯而已。
臭味の交わりは、かくの如きのみ。
方向性や心持ちの同じひとたちとのお付き合い、というのは、このようなものですなあ。
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「酔古堂剣掃」巻七より。すばらしい・・・むにゃむにゃ・・・。
「おい!」
・・・むにゃ。
「おい!」
・・・むにゃ・・・
「起きろ! 会議中だ!」
とつつかれてやっと目が覚めた。今日も職場で二回ほど居眠りしました。その居眠りの中で夢を見ていたのだ。友だちはいないし、こんな洞穴に立派な人が訪ねて来るはずもないのであった。