平成31年4月9日(火)  目次へ  前回に戻る

暖かくなってあちこちから花が咲いてくるかと思ったが、なかなか暖かくならない。

また寒くなってきました。いつまで経っても洞穴から出られないなあ。

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強項者未必為窮之路、屈膝者未必為通之媒。

強項なるものはいまだ必ずしも窮の路と為らず、屈膝なるものはいまだ必ずしも通の媒と為らず。

「強項」の「項」は「うなじ」です。「強項」とは、うなじが強ばって人に頭を下げることができない、のではないかと思われるぐらい人に頭を下げない剛直な人柄をいいます。

剛直で頭を下げることをしない、ということは、決して世渡りに失敗して窮迫してしまう一本道になるわけではない(。それが必要な場合や、それを買ってくれるひともいるのであろう)。一方、人に膝を屈して柔軟に従う、ということが、決してうまく出世していく仲立ちになってくれるわけではないのだ(。それを嫌われて失敗することも多いのである)。

なんだそうです。

しかし、たいていの場合は剛直だと窮迫し、柔軟に対応していれば出世します。

けれども、

銅頭鉄面君子、落得做個君子、奴顔婢膝小人、枉了做個小人。

銅頭鉄面の君子は、落ち得て個(こ)の君子と做(な)るも、奴顔婢膝の小人は、枉げ了して個の小人と做らん。

銅でできたかと思うように固い頭、鉄で顔が出来ているのかと思うような剛直な精神を持つ立派なひとは、落ちぶれても結局立派なひととなるが、やっこのような卑屈な顔で、下女のように膝を折って人に従う下らんやつは、筋を曲げに曲げても結局下らんやつにしかならない。

んだそうです。

頭は固いが剛直でなく、卑屈な顔だが柔軟でもない、というタイプのわれらはどこにどう落ちぶれていくのであろうか。

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「酔古堂剣掃」巻八より。わしらはどうせ洞穴の中で落ちぶれていきますので、みなさんは頑張って金属の頭にして、君子になれるよう努力してみてください。

 

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