月光のもと、妖しく騒ぐぶたデビル、ひよこデビルたちだ。今夜も彼らが蠢いているが、彼らにはやる気とか能力とかがあまり無いので不幸中の幸いである。
今日は満月みたいなんです。そろそろ寒くなってきたので空気が緊張している中、月がきれいであった。
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月の光の下、ここは・・・
高高峯頂上、 高高たる峯の頂の上、
四顧極無辺。 四もを顧みれば極まりに辺無し。
高い高い峯の頂上である。
四方を見回すが、どこまでも夜空には涯が無い。
ここにたった一人でいるんですが、この山頂には泉がある。
独坐無人知、 独り坐して人の知る無く、
孤月照寒泉。 孤月は寒泉を照らす。
たった一人で誰にも知られず、この山頂に座っている。
月だけが冷たい水をたたえた泉に影を映しているのだが・・・。
泉中且無月、 泉中にはかつ月無く、
月自在青天。 月は自ずから青天に在り。
泉に映っているのは影であって月はそこにはない。
月はもとより青々とした空にある。
この山頂にはやはり自分ひとりなのだ。
・・・というように、夢かマボロシのような孤独な世界について歌を作りました。
さてさて、
吟此一曲歌、 この一曲の歌を吟ずるに、
歌中不是禅。 歌中はこれ禅ならずや。
この一曲の歌を歌ってみる。
この歌の中に歌われていることは、禅なのでしょうか、どうでしょうか。
さてさて。
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「寒山集」より。「さてさて」と言われてもわかりません。一休さんにでも教えていただきたい、
なお、この最後の句は、
歌中はこれ禅ならず。
この歌の中に歌われていることは、まったく禅ではない。
と読むべき、という有力な説があって、山中に一人でいるような孤立して行いすましているのは本来の禅ではない、禅というのはもっと生命活動とともにあるものだ、というような説明になります。さてさて。