平成３０年４月８日（日）　　目次へ　　前回に戻る

お花祭りの頃にしては寒い日でした。

もう明日は平日か。涙出る。

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甘茶のチャチャチャ、よいこのみなちゃん、こんにちはー。本日は「お花祭り」なので、おシャカさまのお話をちゅるよ―――

おシャカさま（以下「ブッダちゃん」と訳します）は向こうから、黒氏梵志（こくし・ぼんじ。「黒氏のバラモン」）がやってくるのご覧になられました。梵志（以下「バラモンちゃん」と訳します）は、

以左右手�ｰ合歓、梧桐花両株、来供養仏。

左右手を以て合歓、梧桐の花両株を�ｰ（ささ）げ、来たりて仏に供養せんとす。

左右の手に、ねむの花とあおぎりの花を二本捧げ持って、ブッダに供養しようとやって来られたのです。

「やってきまちたね」

仏召仙人、梵志応諾。

仏、仙人を召し、梵志応諾す。

ブッダちゃんは「こちらに来なちゃい」と超人的な力を持つそのバラモンちゃんにお声をかけられました。「はい、まいりまちゅる」とバラモンちゃんはお答えになってブッダちゃんの側に寄りました。

ブッダちゃんは、バラモンちゃんが近くにやってきて跪き、うやうやしく礼拝をするのを観ながら、

放下著。

放下著せよ。

「手放してしまいなちゃい」

とおっしゃった。

「はい」

梵志遂放下左手一株花。

梵志はついに左手の一株花を放下せり。

バラモンちゃんはただちに左手に持っていた一本の花を手放した。

すると、ブッダちゃんはまた言いました。

放下著。

放下著せよ。

「手放してしまいなちゃい」

「はい」

梵志又放下右手一株花。

梵志また右手の一株花を放下せり。

バラモンちゃんは、今度は右手に持っていた一本の花を手放した。

すると、またまたブッダちゃんはおっしゃった。

放下著。

放下著せよ。

「手放してしまいなちゃい」

梵志曰、世尊、我今両手皆空、更教放下箇甚麼。

梵志曰く、世尊、我いま両手皆空し、さらに箇の甚麼を放下せしめん。

バラモンちゃんは言った。

「世にも尊いお方よ、おいらはいま両手とも空っぽになっていまちゅ。さらにこれ以上なにものを手放すことができましょうか」

ブッダちゃんはおっしゃいました。

吾非教汝放捨其花。

吾、汝にその花を放捨せしむるにあらざるなり。

「おいらはおまえさんに、花を手放してしまえ、と言ったわけではないんでちゅよ」

「ぶび・・・？」

花ではなく、汝に外よりまつわりついた六種類の汚れ（「外六塵」）、汝の内にある六種類の感覚器官（「内六根」）、汝そのものを成り立たしめる六種類の意識・下意識（「中六識」）。これらをすべて手放してしまえ、というのだ。

一時捨却、無可捨処、是汝免生死処。

一時に捨却するに捨つべきの処無き、これ汝の生死を免るる処なり。

「いっぺんに全部手放してしまってくだちゃいよ。もう手放すものが無くなったら、おまえさんは生きては死に、死んでは生まれるこの輪廻の苦悩から離れることができるときでちゅぞ」

「なーるほど！」

梵志於言下悟。

梵志、言下に悟る。

バラモンはその言葉を聞くや、瞬時に悟った。

のだそうでございます。

―――甘茶のチャチャチャ、これでおしまいー。

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「五灯会元」巻一より。ふう。コドモ（←みなさんのことですよ）相手は疲れるぜ。おいらも早く全部捨てないと・・・。もともとは「黒氏梵志経」という三国時代に訳されたお経に出てくるお話なんだそうです。

そろそろわかってきましたかな？

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