一月終わり。間もなく春が来るはず。一曲歌ってくれ。
今日はむかしの職場仲間のみなさんと飲み食いして、その後キモチいいからアナグマと月食を見ながら帰ってきた。
ので、家に着いたら「うわ」というぐらいかなり遅い時間になってしまいました。わしのような年寄りに冬の夜更かしはツラいのう。
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寒いんで年寄りにはツラいんで、短いうたを読んで寝ます。
垂柳依依惹暮烟、 垂柳は依依として暮烟を惹(ひ)き、
素魄娟娟当綉軒。 素魄は娟娟として綉軒に当たる。
「依依」はまつわりつくさま。「魄」(はく)は「魂魄」の「魄」ですが、月の白く光っている部分を指したり、逆に月のうち影になって暗い部分をいう。ここでは「素魄」なので、「白い、月の光っている部分」。「娟」(けん・えん)は女性のくねくねしたしなやかな美しさを形容するコトバです。
しだれ柳はゆらゆらとまつわりついて、夕暮れの霧を惹き起こす。
白い月はきらきらと美しく、飾りのついた軒端の向こうに出る。
妾身独自眠。 妾が身は独自(ひとり)眠る。
月円人未円。 月まどかなれども人いまだまどかならず。
あたしは今宵も独り寝なのさ。
月はまるいのに、人間世界はまるくおさまらないものね。
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元・王元鼎「越調・凭欄人・閨怨」(越の曲調「おばしまに凭れるひと」の節で。「寝床の悲しみ」)。
くだらん感じがしますが、最後の「月円かなれども人いまだ円かならず」の句が、どんなところにも適用できて、清・不題撰人が「元曲三百首」に選んだ名高い小令(短い曲)なんです。
どんな上の句にもつく魔法の下の句
「それにつけても金の欲しさよ」
みたいなもの、なんじゃよ。