平成29年12月7日(木)  目次へ  前回に戻る

ぶたとのに刃物は危険であるが、↓下記のひとたちの方が危険であるような気がする。

今日はそこそこツラかった。二枚舌ではありませんが、一.一枚舌ぐらい言ってしまったのを追求されて困ったのである。あと一日だが、解決してないから明日もツラい・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・

舌は一枚だけだと困ってしまうことがあるみたいです。

湖北・南昌の挙人(科挙の地方試験に受かったひと。かなりのエリートである)なにがしというひとに、

有鑚穴之行。

鑚穴の行い有り。

「穴を鑚(き)る行い」というのは、壁に穴をあけて忍び込み、他人の妻女と関係を持つこと、です。

他人の女房と不倫関係にあった。

其夫知之、挟婦囓其舌。

その夫これを知り、婦をしてその舌を囓らしむ。

女の夫がこのことを知り、(激怒して)女に、男が忍んで来てキスしたときに、舌を齧り切ってしまうように強制した。

女はそのようにした。

男は叫んで逃げ出して行ったが、女の口中に嚙み切られた舌が残り、夫は

因持以訟於所司。

因りて持して以て所司に訟う。

これを証拠品としてお役所に訴え出た。

姦通は死刑相当のすごい犯罪です。

舌を噛み切られた男の方に、役所から呼び出しが来ました。

このとき、

有人教挙子復以針刺舌断処、急剪狗舌、乗熱接之、即合。

人の、挙子に、また針を以て舌の断処を刺し、急に狗舌を剪りて、熱に乗じてこれを接すれば即ち合すと教うる有り。

挙人の男に対処法を教えてくれたひとがあったので、言われたとおりにやってみた。

@  まず舌の断裂面に針を刺しこむ。(かなり痛そうである)

A  次に、イヌの舌を突然切り取る。

B  自分の舌とイヌの舌を火などであぶって熱しておく。

C  自分の舌に刺し込んだ針に、イヌの舌を刺して、両者を接合させる。

こうして、イヌの舌を断裂したところに繫ぎ、外見上は元通りなったのである。

翌日、役所のお白洲に出頭したときには、

示舌固在。

舌のもとより在るを示す。

舌を見せて、もとからあったことを示した。

「なんと! 舌があるではないか!」

お役人は大いにお怒りになり、

訟者受大械、抵罪。

訟者大いに械を受け、罪に抵る。

訴えた夫の方が逆にきついお取調べを受け、誣告の罪で罰せられた。

ああよかったですね。挙人は助かったのだ。

しかるに、

狗舌稍長、語常期期、不如其旧。可笑也。

狗舌やや長く、語つねに期期として、その旧に如かず。笑うべきなり。

つないだイヌの舌が長すぎたようで、話すときにいつもどもってしまい、以前のようではなくなってしまったのは、お笑いである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「続耳譚」巻一より。シンポしたゲンダイの多様性の時代の価値観では、この結果に拍手喝采・・・なのかな。愛知七区もあるぐらいだし。

 

次へ