ぶた忍者の剣がまっすぐなのは、心がまっすぐであるからだ・・・とは言えまい。
月曜日だ。もうダメだ。↓のやつみたいに自分に自信が持てればなあ・・・。
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唐・憲宗皇帝の元和五年(810)のこと、白楽天は困っておりました。
上奏文の中で皇帝の信頼する大官や宦官を攻撃したり、最近発表した「新楽府」シリーズ五十篇の中で政権批判を繰り広げたので、
どっかーん!!!!
白居易小子是朕提擢致名位、而無理於朕、朕実難奈。
白居易小子はこれ朕提擢して名位を致すに、朕に理無し、朕実に奈(いか)んともし難し。
「白居易のガキは、わしが選んで名誉ある地位につけてやったやつなのに、わしに対して理解が無く、わしはやつをどうしてやればいいのかわからん!」
と皇帝を相当怒らせてしまいました。(「旧唐書」白居易伝)
なんとか宰相の李絳がとりなしたのでとりあえず処罰は免れたのですが、これからの役人生活の将来に傷がついたぞ。
・・・そんなある日、道を歩いていたら、ぴかぴかするものを見つけた。拾い上げてみると、折れた剣の先である。
「・・・・・・・」
これをじっと見ていた白楽天、
「この棄てられた剣の先こそ、わし自身ではなかろうか」
と言いまして、作った詩が以下のごとし―――。
拾得折剣頭、 折剣頭を拾得す、
不知折之由。 知らず、これが折れる由を。
折れた剣先を拾った。
なぜ折れたのかは知らない。
この剣先は、
一握青蛇尾、 一握の青蛇の尾、
数寸碧峰頭。 数寸の碧峰の頭。
ひとつかみの長さの青へびのしっぽか(のように妖しい光を放ち)、
数寸ほどの高さのみどりの峰のいただきか(のように鋭く切り立っている)。
疑是斬鯨鯢、 疑うらくはこれ、鯨鯢を斬りしか、
不然刺蛟虬。 しからずんば、蛟虬を刺せるか。
もしかしたら、巨大なクジラを斬った(ので、折れた)のかも知れないし、
そうでないなら、強暴な水龍を刺した(ときに折れた)のかも知れない。
そんなすごいことをしとどけたのかも知れないが、
缺落泥土中、 泥土中に缺落し、
委棄無人収。 委棄して人の収むる無し。
泥つちの中に欠け落ちて、
棄てられたまま誰にも拾われなかったのだ。
さて―――
我有鄙介性、 我に鄙介の性有りて、
好剛不好柔。 剛を好みて柔を好まず。
勿軽直折剣、 軽んずるなかれ、直にして折れる剣を、
猶勝曲全鈎。 なお勝らん、曲にして全き鈎に。
わたしにはへんくつで強情な性格がありまして、
剛直なことが好きで、柔和なことは好きではない。
まっすぐで折れてしまった(わたしのような)剣をバカにしないでいただきたい。
曲がって壊れることのない「はり」(フック)よりは(わたし的には)ずっとすぐれているのであるから。
なかなか自分を否定できないようです。
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唐・白楽天「折剣頭」詩。
石原裕次郎「錆びたナイフ」みたいな出だしですが、白楽天はロマンチックな女の子みたいに詩作ノートみたいなのに誰にも知られないように書いたのではなくて、知識人仲間に発表したわけですから、
「まだ何か言っとるぞ」
とおえらがたたちが眉根を顰めているに違いありません。きれいごとばっかり言っているやつはおえらがたよりまだマシか。あるいは逆か。