平成28年9月18日(日)  目次へ  前回に戻る

なぜ心ゆくまで食うことが許されないのか。

今日も思ったほど食べてないのに、じわじわと体重増えた。

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昨日と同じ段文昌さまのエピソードより。

段文昌は広陵の瓜洲というところに仮住まいしていましたが、若いころからすでに両親も無く、

家貧力学。

家貧しくして学に力(つと)む。

貧乏であったが、(上昇志向があったので)一生懸命勉強していた。

ある夏の日、

訪親知於城中、不遇、饑甚。

親知を城中に訪ぬるに遇わず、饑甚だし。

街中の知り合いの家を訪ね(て食べ物を恵んでもらおうとし)たが、留守で会えず、帰り道、腹が減ってしかたがない。

このとき、天の恵みであろうか、

於路中拾得一銭。

路中に一銭を拾得す。

道で一銭のお金を拾ったのであった。

大喜びで、

道傍買瓜、置於袖中。

道傍にて瓜を買い、袖中に置く。

みちばたの露店で瓜を買って、これを袖の中に入れた。

「おれはいま、十分な食い物を持っているんだなあ」

と思うと、なんだかゆとりができて、シアワセである。

至一宅、門闃然。

一宅に至るに門闃然(げきぜん)たり。

とある家の前を通ると、門の中は「しーん」として人の気配が無い。

「よし、ここでゆっくりと味合わせていただこう」

と門から入り込み、

入其厩内、以瓜就馬槽破之。

その厩内に入り、瓜を以て馬槽に就きてこれを破る。

(馬のいない)馬屋があったので、そこまで行って、馬の飼い葉桶があったから、これに瓜をぶつけて割った。

中から水気をたっぷり含んだ香ばしいにおいがする。

「うっしっしー! いただきまーす」

方啗次、老僕聞撃槽声、躍出、責以擅入厩。

まさに啗(くら)わんとする次(とき)、老僕、槽を撃つ声を聞きて躍り出で、責むるに擅(ほしい)ままに厩に入るを以てす。

口をあけて食らいつこうとした、まさにそのとき―――、その家の下男らしいじじいが、飼い葉桶を叩いた音を聞きつけたらしく、奥から飛び出して来て、

「おまえはなにものじゃ! 勝手にひとさまの家の馬屋にまで入り込みおって!」

と怒鳴りつけてきた。

「ご、ごめんなさい!」

段は、

驚懼、棄之而出。

驚き懼れ、これを棄てて出でたり。

びっくりし、またコワくて、瓜を棄てて逃げ出した――――。

「あの時の瓜が、今も惜しくてならんのじゃよ」

と、後に出世して節度使になってからも、ことあるごとに言っていたそうである。

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宋・王讜「唐語林」巻六より。若いころの貧乏自慢は楽しいからね。老いてからの貧乏はツラいが。

 

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