平成28年4月15日(金)  目次へ  前回に戻る

はなくそ食ったり、はなみずからめてもちを食ったりすると体に悪いにゃす。

今日は宴会。週末なので解放感も手伝い、あんまり飲まないけど、無茶苦茶食ってしまった。今週もいい加減ででたらめな食生活を送ってしまいました。

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「いい加減」で「でたらめ」ではいけません。

紀元前六世紀ごろ、

長梧封人問子牢。

長梧の封人、子牢に問う。

国境の町・長梧の国境管理のおっさんが、孔子の弟子・琴牢に訊ねた。

「おまえさんは、魯の孔丘の徒じゃなあ」

そして、にやにやしながら云うのであった。

君為政焉勿鹵莽、治民焉勿滅裂。

君、政を為すに鹵莽なることなかれ、民を治むるに滅裂たることなかれ。

おまえさん、行政をするにはいい加減ではいけませんぞ。人民を治めるにはでたらめではいけませんぞ。

「わかっておられますかな?」

と、じろじろ琴牢の顔を見まして、言う。

昔予為禾、耕而鹵莽之、則其実亦鹵莽而報予。芸而滅裂之、其実亦滅裂而報予。予来年変斉深其耕而熟耰之、其禾繁以滋。

昔、予を禾を為すに、耕してこれを鹵莽にすればすなわちその実また鹵莽にして予に報ず。芸(くさぎ)りてこれを滅裂すれば、その実また滅裂して予に報ず。予、来年、斉を変じてその耕を深くしてこれを熟耰するに、その禾繁にして以て滋(しげ)れり。

むかし、わしは稲を植えましたのじゃが、田の耕作をいい加減にしたところ、秋になって、やはりいい加減な稔りしかありませんでした。雑草を取るのをでたらめにやったら、その年も秋になって、やはりでたらめな稔りしかありませんでした。

そこで、わしはその次の年には方法を変えましてな。耕作を深くして、じっくりと草を刈った。そしたら、稲は大いに繁茂し、たくさん稔りをもたらしましたのじゃ。

予終年厭飱。

予、終年、飱に厭く。

わしはその年は一年中、腹いっぱい食えましたなあ。

「あの年はよかったなあ、うっしっし」

そう言ってにやにやして、ようやく国境を通してくれたのであった。

―――荘子がこの寓言を解説して、おっしゃった。

今、人之治其形、理其心、多有似封人之所謂。遁其天、離其性、滅其情、亡其神、以衆為。

今、ひとのその形を治め、その心を理(おさ)むるに、多く封人の謂うところに似る有り。その天を遁れ、その性を離れ、その神を亡うは、衆為を以てするなり。

ゲンダイにおいて、ひとびとがその身体を健康にし、その心を整えるのに、この国境管理のおっさんの言っているところは当てはまるところが多いのではないじゃろうか。だいたい、ゲンダイのひとが与えられたその天命を逃れ、その本性を離れ、その感情をすり減らし、その精神を喪失してしまうのは、いろんなことをしすぎるからである。

故鹵莽其性者、欲悪之孽、為性萑葦蒹葭。

故に、その性を鹵莽にする者は、欲悪(よくお)の孽(げつ)の、性の萑葦(かんい)・蒹葭(けんか)と為れるなり。

というわけで、その本性を大切にせずいい加減に扱っているやつは、好きで欲する・きらいで(にく)むの感情のひこばえが成長して、やがては本性の中で萑葦(あし)や蒹葭(よし)のようにはびこ(って、稲の発育を妨げ)るのである。

始萌以扶我形、尋擢吾性。竝潰漏発、不択所出。漂疽疥癕、内熱洩膏、是也。

始め萌すに我が形を扶くるも、尋(つい)で吾が性を擢(ぬ)く。竝(なら)びに潰漏(かいろう)を発して、出づるところを択ばず。漂疽(ひょうそ)・疥癕(かいよう)、内熱・洩膏(にょうこう)、これなり。

好悪の欲望は、はじめのうちは、わしの身体を成長を助けてくれているのかと思うのだが、そのうちわしの本性を突き破り、そして体中ところかまわず腫物が潰れて膿が漏れ出すのである。危険な皮膚病、悪性の潰瘍、内臓の発熱、体液の浸出などがその例である。

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「荘子」則陽篇より。「いい加減」「でたらめ」もまずいですが、「いろんなことをしすぎる」もまずいんです。できれば何もしないでいたいものです。

でも被災者の支援だけはできることしないと。今日はコンビニで200円寄付してきたが、現地には行けませんので、自衛隊や警察や消防のみなさんよろしくお願いします。

 

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