平成27年12月16日(水)  目次へ  前回に戻る

おいらたち肝冷族に宮仕えはやはりムリ。

どうしてこんなに人間が未熟なのであろうか。まだ人間に進化しきれてない?

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五代十国の時代、四川・涪州の部将・藺庭雍には妹一人おったが、この女、手癖が悪く、化中という村を通り過ぎる間に

盗取常住物、因即迷路。

常住の物を盗み取り、よりて即ち路に迷う。

そのあたりにあるモノを盗みとっている間に道に迷ってしまった。

らしい。

そして、

数日之内、身変為虎。

数日のうち、身変じて虎と為る。

数日のうちに、からだが変化してトラになってしまったのであった。

その証拠に、そのトラは、

前足之上、銀纏金釧、宛然猶存。

前足の上、銀纏・金釧、宛然としてなお存す。

前足に、彼女のつけていた銀の腕飾りや金の腕輪が、そのまま着いていた。

このトラは、

毎見郷人隔樹与語云、我盗化中之物、変身如此。求見其母、托人為言之。

郷人をみるごとに樹を隔ててともに語りて云う、「我、化中の物を盗みて変身することかくの如し」と。その母に見(まみ)えんことを求め、人に托して為にこれを言わしめんとす。

同郷のひとを見かけるたびに、木の陰から語りかけて会話し、「あたしは化中の村のモノを盗んだら、こんなふうに変化してしまったんだよ」と言っていた。また、「おっかさんに会いたいんだよ」と人に頼んで伝えてもらおうとした。

ところが、

母畏之、不敢往。

母これを畏れてあえて往かず。

おっかさんはトラの姿を恐れて、会いに行こうとしなかった。

そのため、

虎来往郭外、経年漸去。

虎、郭外に来往し、経年にしてようやく去る。

トラは涪州の町の城壁の外までやってきた出没した。一年以上経ってから、やっと来なくなった。

そうです。

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おいらみたいに未熟なニンゲンはトラに変ずる可能性高いのでは? みなさんあまり刺激しない方がいいカモよ。五代・杜光庭「録異記」巻五より。

なお、しごと等の都合上、少なくとも明日・明後日は更新を休みます。

 

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